2023-12-05

「どうしてお薬は食後?」(薬局)

皆様、こんにちは。戸田病院 薬局です。

当院は院内調剤の為、入院も外来も当薬局で薬を調剤しています。

外来の場合、薬局窓口で薬剤師から直接、患者様へ薬をお渡しし、飲み方や薬効の説明させて頂いています。その際に患者様やご家族様から、服薬に関する感想や疑問をお聞きする機会がありますが、その中でたま~に、でも定期的にいただく質問があります。

それは、何で薬は食後に飲むものが多いの?です。

理由は幾つかあります。一つは、薬は口から飲んだ後、多くが胃や小腸で吸収され血液の中に入り、作用部位に到達して効果を発現します。この時、薬の濃度を一定に保つ方が良く、ある程度規則正しい間隔で服用することで、薬の濃度が保たれます。食事は日常生活の中で、時間帯を等分していると考えられていますので、この規則正しい間隔にピッタリなのです。更に食事の後だと覚えておけば、飲み忘れを防げますし、薬を飲む事を習慣化しやすくなります。

二つ目に、飲み方の食後とは「食べ終わって30分後」を指しますが、このタイミングは胃の血流が良くなり、十二指腸から胆汁酸が分泌される為、消化吸収率が上がります。また胃の中に食べ物がある為、胃への刺激が緩和され、胃腸障害を予防できる利点もあります。以上のことから、食後に服用することが多いのです。

さて、飲み方は食後以外にも、食前、食間、食直前、寝る前等など、薬によって胃の中の食べ物と反応して効果が強く出てしまうものや、反対に効果が下がってしまうもの、食べ物で酸が中和され、胃の中のpHが変わり吸収率が変化してしまうものがあります。

他にも胃の中が空っぽの方が薬を良く吸収してくれるものがあり、漢方薬はこれに該当します。その為、これらの薬は食前(食事の30分前)や食間(食後2時間)といった胃の中に食べ物がない時に服用します。

また一部の糖尿病治療薬は、血糖値を下げる作用の発現が早く、持続時間が短いので、食直前(食べる直前)や食前に服用するよう指定されています。

このように薬の性質と食事は密接な関係があり、効力を適切に発揮できるよう飲む時間が考えられています。しかし忙しいと食事の時間が遅れたり、薬を飲み忘れてしまうことがあると思います。そんな方は是非一度、医師又は薬剤師にご相談下さい。