2018-12-18

心理室の活動

今回は、当院静養病棟で週に1度行っている集団精神療法の活動について紹介します。

ここでは、入院集団精神療法“心理のつどい”を行っています。静養病棟の入院患者様に多い軽度の認知症状のある方向けに、認知機能の回復をめざしたプログラムを提供しています。

認知症状の中には「今がいつか」という見当識の障害がある患者様もいらっしゃるので毎回その日にちなんだ記念日をご紹介しています。この日は「ごめんねの日」という記念日だったので、そのことをご紹介しました。心理士が「謝りたくてもなかなか素直に謝れないと思っている人は世の中に多い。」とお話すると、患者様の中にも「私もそうです。謝れない」と手を挙げてくださる方がいらっしゃいました。こちらが提供した話題をきっかけにして過去を振り返り、言葉にするという体験は「回想法」という高齢者の認知機能改善を期待できるアプローチに通じます。

プログラムの後半では毎回ゲームやクイズを行ってから、最後に季節の歌を歌います。今回は、「シルエットクイズ」を実施しました。シルエットからそれが一体何かを当てていただきましたが、形のみからそれが何なのかを考えないといけません。想像力や発想力、集中力が必要ですが、言葉をあまり用いらなくていいのが特徴的で、こちらも認知機能の向上が目的です。その中で見る人によって違うように見えるシルエットを提示すると、「休んでいる人」「謝っている人」「屈伸している人」などいろんな意見が出てとてもユニークでした。(画像参照。皆さんはいかがですか?)最後に、今月の歌の「故郷」を皆全員で歌いました。

静養病棟での“心理のつどい”では、このように言葉のゲームや季節にちなんだ内容や歌、日付にちなんだ出来事等のご紹介などを通して、頭を働かせたり四季を感じたり過去を振り返ったりすることで認知機能の維持や改善、意欲の向上をめざしています。