今回は、当院の認知症病棟で週に1度行なっている集団精神療法の活動をご報告します。
このプログラムは、季節のお話や歌、クイズ等を通して患者様が楽しみながら認知機能の維持や改善
意欲の向上を目的としています。
毎月第1週目は季節にちなんだ歌を歌う会で、2月最初の活動日はちょうど立春と重なったため
「春を感じる歌」というテーマを掲げ、様々な早春の歌を歌いました。
最初の歌は「春よ来い」
この曲は「2月に歌いたい歌」アンケートで患者様より選ばれました。
童謡ですが大正時代から今もなお、歌い継がれている曲です。
皆さん元気よく歌ってくださり、歌い終えたあとは多くの方が「懐かしいね」と語っており
続けて「早春賦」を歌ったところで本日のテーマ「春を感じる歌」にちなんで、患者様にどんな時に『春』を感じるかうかがってみました。
一番多かったのは「桜が咲いたとき」でした。桜を見て春の訪れを実感される方が多いようです。
他にも「暖かくなってきたとき」「卒業式や入学式」とお答え下さる方も居て、参加された患者様同士で、お互いの『春』を話されていると、他の患者様の話に大きく頷き、様々な『春』に思いを馳せている様子でした。
この日は他にも、「北国の春」「ふるさと」を歌いました。
このように過去を回想できるような懐かしいものに触れ、思い出を語り合ったり誰かに話をすることで、脳が刺激され、同時に記憶がよみがえってきます。
それに伴い情緒が活性化したり、精神状態を安定させたり、認知機能の維持や改善を期待できると言われています(これを回想法と言います)。認知症病棟では、このようなアプローチも取り入れながら、プログラムを行なっています。