2024-10-26

-心理室より- 『急性期病棟・集団精神療法~薬のはたらきについて』

先日、急性期病棟の集団精神療法では「薬のはたらき」をテーマに心理教育を行いました。

この回では、精神科の治療で必須となることが多い精神科薬に対して正しい知識を持ってもらう、あるいは自分が服薬している薬について関心を持ってもらうことがねらいとなります。

まず症状緩和と安定して日常生活を送っていくために服薬が必要なものであることを説明し、それを踏まえて患者さんからの服薬に関する質問に、講師である薬剤師が質問に答えるといったセッションを行いました。

服薬に関して、「人の話がちゃんと聞けるようになった」「過呼吸がなくなった」と何かしら効果を感じているという患者さんが多くいらっしゃる一方、今回のセッションでは薬の依存や効果にまつわる質問、また副作用に関する質問が多くあがりました。

その中で「依存性がある薬と説明されたがそれに依存してやめられなくなってしまうのではないだろうか」と質問された方がいらっしゃいました。その方は、ゆくゆく仕事に復帰したいと考えていたようですが、それを飲んでしまうと症状に効果があってもしばらく起き上がれなくなってしまうため、仕事に復帰できなくなってしまうのではないかと心配になられたそうです。薬剤師からは、「症状や病状に対して必要があって処方されているものと考えられるため、簡単にやめる/やめないは判断できない」「ただ現在は入院中で症状の緩和を目指しているために今はその薬を使用しているとも考えられる。いずれにしても主治医と相談しながら、仕事に復帰となった時点で考慮しても(長期的な視点でみても)よいのではないか」との返答がありました。

またある方は「同じ薬を飲んでいると効果が薄れていくような気がする。前よりも効くまでの時間が長くなったような気がするし、他の薬に変えたらどうなのか」といった質問をされました。これに対して「その時々の体調や状態によって変化する」「薬によっては効くまでの時間が異なったり、緩やかな効き方をするものもあるので、自分自身にあったものを主治医と相談しながら決めていくことが望ましい」と薬剤師より返答がありました。

普段から服薬している患者さんたちだからこそ感じる切実な思いに対し、薬剤師からは必要性があって服薬しているものだからこそ、主治医と根気よく話し合っていくことが大切であると繰り返されました。しばらくはお付き合いしていく必要性があるからこそ、ご自身のニーズや生活スタイルにあった処方薬をスタッフとともに作り上げていく大切な時期であることをお伝えさせてもらいました。

心理教育を通してご自身を見つめなおし、治療に対する主体的な意欲を回復される方々はこれまでも多くいらっしゃいました。今後も患者さんの退院後の生活を見据えて、正しい知識や情報提供を行い、また主体的に自己理解を深められるような機会を提供していければと思っております。