2025年12月17日

病棟での現実見当識訓練

今回は認知症の患者様と一緒に行っている現実見当識訓練をご紹介します。

現実見当識訓練は、認知症によって機能が低下する見当識に対するアプローチです。

見当識とは、自分の置かれている状況(時間・場所・人など)について把握する能力であり、この機能が低下すると日常生活に支障が出たり不安や混乱が生じたりします。

そこで、自身の置かれた状況の把握を促し、不安や混乱を解消することで、患者様が落ち着いて過ごせるようになることを目的に、定期的に現実見当識訓練を行っています。

今回ご紹介するのは、グループで実施する現実見当識訓練の様子です。

参加者のみなさんでお互いに自己紹介をした後、今日の日付や曜日など「時間」に関する確認や、今いる「場所」に関する確認などを一緒に行います。季節の話題にも触れるように心がけています。

先日は「12月が旬のものの名前を当てるクイズ」や「12月の行事を順番に並べるクイズ」を行いました。グループで行うことにより、モチベーションが高まったり、コミュニケーションをとることにつながったり、思い出話に共感しあったりと様々な効果も生まれます。

また、その日の朝に集めた楓や銀杏、桜の紅葉した葉っぱを触ったり匂いをかいだりして季節感を味わいました。葉っぱの独特な匂いをかいで、うんうんと頷く方や、色とりどりの葉に「まぁ綺麗ね~」と喜ばれる方など様々な反応がありました。五感を用いることで単なる知識のみよりも印象を深めることができます。

入院生活では、自分の居場所を意識したり、季節を感じたりする機会が少なくなってしまいがちです。これからも、そうした機会を少しでも設けられるように工夫しながら、患者様が安心して過ごせるよう心掛けていきたいと思います。

戸田病院 心理室