アルツハイマー型認知症は、脳内で異常なたんぱく質(アミロイドβたんぱく、タウたんぱく)が作られ脳細胞にとどまり、脳細胞のネットワークが少しずつ壊れながら脳が委縮していく認知症です。
MRIやCTなどの画像検査で、脳の画像を見ますと全体的に委縮がみられ、特に「海馬」と呼ばれる記憶を司る部分の委縮が顕著となります。
症状の進行は比較的ゆっくりであり、全般的に進むことが多いそうです。
「いつどこで~」というような出来事や、月日や季節感も曖昧になります。
症状が進むと出来事全体が分からなくなり、特に最近の出来事の記憶が抜けてしまいます。
また物事の手順が分からなくなることもあります(例 料理)。
買い物の際に同じ物を買ってきてしまうことや、
計算が苦手になり小銭が使えず、お札を多用するようになることもあります。
そうした状況に、最初はご本人も困ることや戸惑うことが増えていきます。
本人は「うっかりしていた」「大丈夫」と取り繕う場面が増え、その頃から身近なご家族なども「様子が変かも」と気になり始めることが多いようです。
本人も「自分はどうしちゃったのだろう」と不安な気持ちになります。
周りに気づかれたくないと隠してしまうこともあるでしょう。
本人の気持ちやプライドを尊重し、出来ることは自分でやり、出来なくなったことは手伝う、といったように生活のフォローを考えていきましょう。
ニュースで話題になっています、認知症の治療薬「レカネマブ(レケンビ®)」は、アルツハイマー型認知症の治療薬です。レカネマブの効果としては、冒頭でもご説明したアミロイドβたんぱくの除去ができることにあります。
ただし、アルツハイマー型認知症の前段階であるMCI、軽度認知機能障害の状態であること、アミロイドPET、骨髄穿刺などでアミロイドβたんぱくが間違いなく蓄積していること、いままでに脳出血などがないことなど、レカネマブを使用するためにはたくさんのハードルがあります。治療が始まっても、2週間に1回の点滴治療、お薬の値段や検査の値段による費用面、治療期間も18か月と長く、定期的にMRIによる画像検査も必要です。
レカネマブの使用についての相談は、認知症疾患医療センターが窓口となっております。
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次回は、「脳血管性認知症」についてお話ししたいと思います。
認知症に関する相談は、戸田病院 認知症疾患医療センターでもお受けしております。
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