2024-04-30

Ⅲ.認知症 第11回 「4大認知症 ~アルツハイマー型認知症~」

アルツハイマー型認知症は、脳内で異常なたんぱく質(アミロイドβたんぱく、タウたんぱく)が作られ脳細胞にとどまり、脳細胞のネットワークが少しずつ壊れながら脳が委縮していく認知症です。

MRIやCTなどの画像検査で、脳の画像を見ますと全体的に委縮がみられ、特に「海馬」と呼ばれる記憶を司る部分の委縮が顕著となります。

症状の進行は比較的ゆっくりであり、全般的に進むことが多いそうです。

「いつどこで~」というような出来事や、月日や季節感も曖昧になります。

症状が進むと出来事全体が分からなくなり、特に最近の出来事の記憶が抜けてしまいます。

また物事の手順が分からなくなることもあります(例 料理)。

買い物の際に同じ物を買ってきてしまうことや、

計算が苦手になり小銭が使えず、お札を多用するようになることもあります。

そうした状況に、最初はご本人も困ることや戸惑うことが増えていきます。

本人は「うっかりしていた」「大丈夫」と取り繕う場面が増え、その頃から身近なご家族なども「様子が変かも」と気になり始めることが多いようです。

本人も「自分はどうしちゃったのだろう」と不安な気持ちになります。

周りに気づかれたくないと隠してしまうこともあるでしょう。

本人の気持ちやプライドを尊重し、出来ることは自分でやり、出来なくなったことは手伝う、といったように生活のフォローを考えていきましょう。

ニュースで話題になっています、認知症の治療薬「レカネマブ(レケンビ®)」は、アルツハイマー型認知症の治療薬です。レカネマブの効果としては、冒頭でもご説明したアミロイドβたんぱくの除去ができることにあります。

ただし、アルツハイマー型認知症の前段階であるMCI、軽度認知機能障害の状態であること、アミロイドPET、骨髄穿刺などでアミロイドβたんぱくが間違いなく蓄積していること、いままでに脳出血などがないことなど、レカネマブを使用するためにはたくさんのハードルがあります。治療が始まっても、2週間に1回の点滴治療、お薬の値段や検査の値段による費用面、治療期間も18か月と長く、定期的にMRIによる画像検査も必要です。

レカネマブの使用についての相談は、認知症疾患医療センターが窓口となっております。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

次回は、「脳血管性認知症」についてお話ししたいと思います。

認知症に関する相談は、戸田病院 認知症疾患医療センターでもお受けしております。

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