2024-04-23

Ⅲ.認知症 第10回 「こんな時、どうすればいいの?」

前回に引き続き、認知症に関することをお話していきたいと思います。

今回のテーマは、「症状が見られた時の対応方法について」です。

いままでのコラムの中でお話していたように、認知症の症状には、「中核症状」と「行動・理症状(周辺症状)」があります。症状が出現しても日常の中でも生活に大きな支障が見られなければ問題は無いのですが、症状がみられることで、思いもしなかった苦労をするかもしれません。

中核症状は脳の細胞が壊れることにより出現する症状です。

記憶障害、見当識障害、実行機能障害、失行、失認、失語などの症状が複合的に現れ、徐々に進行していきますが、現れる症状や出現順などには個人差があり、認知症の種類によっても異なります。

症状によっては家族が困ってしまうこともあります。

また本人もそうした症状のせいで、困っている状態でもあります。

中核症状では、もの忘れの症状が中心のため、ご家族様の認知症への理解や、生活のサポートがあれば在宅での生活は可能です。日中は仕事のため本人が1人になってしまう場合は、デイサービスを利用するなど、ご家族だけでは対応が困難であれば、介護保険サービスを利用してみるのが良いでしょう。

中核症状は一度進行してしまうと、回復することが難しいとされています。

そのため今後は症状の進行を緩やかにすることが重要になります。

他の人とのコミュニケーションの場を設ける、体を動かす機会を作る、

頭を使うことをする、生活リズムを整えるなど、日々の生活内容の改善も大事になります。必要に応じて専門の機関に相談することも必要です。医療機関ではもの忘れの進行を遅らせる薬などもあります。

周辺症状は、全ての認知症の方にみられる症状ではありません。

認知症の中核症状に対する不安や、受け止め方によって生じるものであり、その人の性格や生活環境によって症状や程度は異なります。

「物を盗まれた」と騒いでしまう、幻覚や妄想がみられる、大声で怒鳴りつける、物を投げることや手をあげてしまう、こうした様子が目立つようになってきてしまうと、同居の家族の負担が大きくなってしまいます。

こうした症状は、他の人から指摘を受けたからといって治るものではありません。

場合によっては生活に支障をきたすことや、本人や家族が怪我をしてしまう可能性もあります。

中核症状が治りにくいのに対し、周辺症状は薬などによって症状を落ち着くこともあります。ご本人のためにも、できるだけ早期に専門治療を開始し、治療の結果から本人にとって良い生活を検討していくことが必要となります。

最後まで、読んでいただきありがとうございます。

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