2024-06-04

Ⅲ.認知症 第16回 「生活場面での工夫について ~その1~」

ご自宅で介護をする中で工夫できることはないか考えてみましょう。

認知症が進行してくると、中核症状(記憶障害・見当識障害・遂行機能障害など)により様々なことが苦手になってきます。

これは急に出現する症状ではありません。

そこで考えたいことは、ご家庭で生活する上での工夫です。これは、ご本人が今後安心して生活できることに繋がっていきます。

言い替えれば、安心・安全に過ごすことができる環境に少しずつ改善(工夫)していくことです。

ご自宅で安全にすることを考えると、廊下に手すり棒の設置、床に不要な物を置かない、玄関や勝手口などの段差にスロープを付けるなど、一見バリアフリー化をお考えになるかもしれません。しかし、認知症の場合、症状の進行に個人差もありますし、もの忘れにより環境の変化に敏感ですし、リフォームがストレスとなり病状が進行してしまうこともあります。

バリアフリーにしたことが裏目に出てしまうことがあるのです。

出来ることはご自分でというスタイルは大切ですので、「その方の生活スタイルに合わせること」が、ご本人・ご家族にとって最低限の環境の変化で、認知症が進行していっても今まで通り過ごすことが出来ます。

生活での工夫としては、失禁などに備えて掃除しやすい素材の床にしておく、玄関マットに滑り止め、玄関に椅子と手すり、夜間暗くなりやすいところへ部分照明、ドアノブを開けやすい形状の物へ、トイレやスイッチの位置をわかりやすく表示するなどが挙げられます。しかし、一気にすべてを変えることは避けましょう。

生活環境は工夫次第です。そして環境は認知症の進行にも大きく影響します。ご本人にふさわしいものであれば、穏やかな生活を続けられることにも繋がっていきます。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

次回は、「生活場面での工夫について ~その2~」についてお話ししたいと思います。

認知症に関する相談は、戸田病院 認知症疾患医療センターでもお受けしております。

お電話でのお問い合わせも可能ですので、お気軽にご相談下さい。

〇お問い合わせ・相談先

戸田病院 認知症疾患医療センター

℡:048-433-0090

Mail:ninchishou-center@koujinkai.or.jp

ホームページ:https://ninchi-center.jp