今回は、当院静養病棟で週に1度行っている集団精神療法の活動について
ここでは、入院集団精神療法『心理のつどい』を行っています。
静養病棟の入院患者様に多い軽度の認知症状のある方向けに、認知機能の回復をめざしたプログラムを提供しています。
この日は広島平和記念日のお話をしました。
原爆ドームの名前で知られている広島平和記念碑を実際にご覧になったことはあるか尋ねますと、何人かの患者様の手が挙がりました。お話を伺うと「昔の事だから…」と言葉を濁される方もいらっしゃいましたが、中には「今みたくきれいになってなくて昔はもっと悲惨でした」と当時ご覧になった印象をお話してくださる方もいらっしゃいました。他の患者様は静かに耳を傾ける方もいらっしゃれば、頷きながらお話を聞く方もいらっしゃいますし、これをきっかけにして思い出したのか隣の方とお話される方もいらっしゃいました。いずれにしても、提供した話題をきっかけにして患者様同士のコミュニケーションが増えるのは、この会の目的の一つです。
プログラムの後半では毎回ゲームやクイズを行ってから、最後に季節の歌を皆さんで歌います。今回は、8月と聞いて思い浮かぶものを何でも自由にお話してもらいました。初めはなかなか出て来なくても、司会者や看護師さんたちのヒントから思い浮かべてお話してくださったり、それを聞いて思い出したりなど患者様によってさまざまな反応をされていました。最後に、今月の歌の「浜辺の歌」を皆さんで歌いました。音もリズムもとりにくい歌ですがとても情景が浮かびやすい歌詞で、皆さん思い思いに歌ってくださっていました。
静養病棟での『心理のつどい』では、このように言葉のゲームや季節にちなんだ内容や歌、日付にちなんだ出来事等のご紹介などを通して、頭を働かせたり四季を感じたり過去を振り返ったりすることで認知機能の維持や改善、意欲の向上をめざしています。