2023-02-24

新型コロナウイルスとメンタルヘルスについて

  • 新型コロナウイルス(COVID-19) パンデミックの間、感染症対策として世界中の国々でさまざまな行動制限・ロックダウンが適用されました。これらの対策は、メンタルヘルスに悪影響を与えると考えられています
  • 感染の恐れ、行動の制限、および経済的影響は、精神的心理的問題を引き起こす可能性があります
  • パンデミックに関連し、パニック症状、うつ病、ストレス、不安、不眠などのメンタルヘルスの相談が増加しています

精神科領域でのコロナ感染の影響

<コロナ関連メンタル調査>

〔背景〕
長期間の「コロナ禍」は、メンタルヘルスに多大な悪影響を与えています。またコロナ感染後に、長期間体調不良が持続する「コロナ後遺症」が報告されています。コロナ後遺症の症状として、複数の精神症状が認められています。

〔目的〕
コロナ感染(COVID-19)後の精神疾患罹患者の精神状態の評価

〔対象〕

精神疾患で入院治療群:63名

精神疾患で外来治療群:53名

健常比較群:34名 コロナ後遺症外来受診群:31名

〔方法〕

CES-D (Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)

STAI(State-Trait Anxiety Inventory;状態・特性不安検査)を実施し、うつ症状・不安のスクリーニングを行いました

CES-D(Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)

  • CES-Dは、世界中で汎用されている抑うつ症状のスクリーニングツール(Radloff LS 1977)である
    得点が高いほど抑うつの傾向が高く、開発者 RadoloŠ,日本語版開発者の島ともに16点以上を スクリーニングのカットオフ値として推奨している

STAI (State-Trait Anxiety Inventory;状態・特性不安検査)

不安状態を測定する心理検査全
40問の質問で構成されている自己評価型の検査

状態不安:特定の時点や場面・出来事・対象物に対して抱く一時的な不安反応のことを指す

採点後の総点数の高さで不安の強度を測り、おおよそ42点以上だと臨床的に問題となりうる高不安だと考えられる

うつ状態のスクリーニング(CES-D) 感染3週間後

うつ状態のスクリーニング(CES-D) 感染3週間後

  • 健常群と比較し、精神疾患で入院治療群では、CES-D高値を認めました
  • 精神疾患治療群では、いずれも平均値は16点以上でした
  • 基礎疾患として精神疾患に罹患していることが、コロナ感染並びに「コロナ禍」でのストレス脆弱性が示唆されました
  • 入院治療群では、無症候群と比較して、感染時有症状群(発熱・咽頭痛・倦怠感など)は高値で平均値は約20点でした
  • コロナ感染時の症状の有無が、その後のうつ状態発症に関連があることが示唆されます
  • コロナ後遺症患者群は、平均CES-D値が27.7±11.1となり、多くがうつ状態であることが示唆されました
  • コロナ後遺症外来受診者は、精神科既往歴はなく、コロナ感染後に何らかの症状のために受診したグループです

うつ状態のスクリーニング 精神疾患入院治療群

うつ状態のスクリーニング 精神疾患入院治療群

  • 感染3週間後・10週間後・35週間後のいずれの期間でも無症候群、有症状群ともに平均CES-D値は16点以上の結果となりました
  • 有症状群は、3期間でCES-D平均値が20点を上回っており長期間うつ状態であることが示唆されます
  • 精神疾患入院治療群は、うつ状態の発症リスクが高いだけでなく、症状が長期間持続している可能性があると思われます
  • 特にコロナ感染時に何らかの症状が出現した場合、いわゆるコロナ後遺症の発症リスクが高くなり、症状への治療・ケアが長期間必要となる事が示唆されます

不安のスクリーニング(STAI) 感染3週間後

不安のスクリーニング(STAI) 精神疾患入院治療群

コロナ関連メンタル調査 結果・まとめ 

  • 健常群と比較し、精神疾患入院治療群では、CES-D高値(うつ状態の高リスク)を認めました
  • コロナ後遺症群は、平均CES-D値が27.7±11.1となり、多くがうつ状態であることが示唆されました
  • 精神疾患入院治療群は、3期間でCES-D平均値が20点を上回っており長期間うつ状態であることが示唆されました
  • 健常既感染群と比較して、精神疾患入院治療群とコロナ後遺症外来で、不安スクリーニング高値を認めました
  • 精神疾患入院治療有症状群では3~35週間を通して不安スクリーニング高値を認め、明らかな改善は認められませんでした
  • コロナ感染時の症状の有無が、その後のうつ状態発症に関連があることが示唆されました
  • 基礎疾患として精神疾患罹患していることが、コロナ感染並びに「コロナ禍」でのストレス脆弱性が示唆されました

コロナ後遺症 特徴

  • 女性は男性よりも、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後にさまざまな症状が慢性的に続く状態、いわゆる「long COVID」のリスクが高い可能性が報告されています。(Shirley Sylvester, Current Medical Research and Opinion,2022)
  • 18報告(計8,591例)の系統的レビューによると、倦怠感(28%)、息切れ(18%)、関節痛(26%)、抑うつ(23%)、不安(22%)、記憶障害(19%)、集中力低下(18%)、不眠(12%)が12ヵ月時点で多くみられた罹患後症状でした。(「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第2版)」)

コロナ後遺症外来 感染時症状

コロナ後遺症外来 主訴

※無断転用禁止 医療法人髙仁会