第8病棟 癒しの空間

第8病棟(急性期認知症病棟)では回想法や音楽療法、運動療法を行っており、その患者様にあったものを取り入れています。

レクリエーションの中では、特に音楽関連のものが好まれており、みなさんの希望もあって病棟内で消灯時間や作業療法の時間以外はオルゴール等の音楽を流すことになりました。

患者様からはもちろん職員からも好評で病棟内はいつも穏やかな時間が流れています。今後はなにかリクエストを募って、好きな歌を聞いて過ごしていただけるような空間を作っていきたいと思います。

第10病棟 2月といえば…

外を歩けば肌寒く、道行く人皆防寒着が必須となっている今日この頃。冬の寒さを感じつつ、患者39名参加となりました。

2月といえばバレンタイン。という事で、病棟ホールにてバレンタインパーティーを開催いたしました。参加者皆に、カフェラテを配り、和気あいあいと活気のあるパーティーになったと感じております。また、サプライズで、チョコレートをお配りしたのですが、普段あまり口にしない物の為か、患者様から大人気であり、スタッフ一同とても喜ばしく感じられました。

今後も、月毎のイベントに特化したレクリエーションを考察し、喜んで頂きたいなと思います。

グループホーム 届かない高い場所でもお手伝いいたします。

退院後の地域生活に対する不安、利用者様1人1人の『その人らしい』地域生活を送る為、服薬・金銭管理や行政関係の手続きなどを戸田病院グループホームでは日々支援をしています。支援の一場面をご紹介させて頂きます。

少しずつ暖かい日も増えてきておりますが、室温が低く暖房やホットカーペット、ホッカイロ等の暖房器具はまだまだ手放せない日が続きそうですね。

日常的に使用する暖房ですが、内部のフィルターを定期的に掃除しなければ埃が溜まり効き目が変わってしまう事があるようです。本体は部屋の高い場所に設置してある事が多く、脚立や椅子などの足場を準備し、フィルターを取り外して掃除をする…というのも中々骨が折れる作業になってしまうのではないでしょうか。

『1人だとフィルターを取り外すのも危なくて掃除する気が起きなかったが、スタッフと一緒だと手伝ってもらえるので安心して掃除が出来た。夏にも冷房として使用するし、今の内に掃除が出来て良かった。』と利用者様にも喜んでもらえました。

第8病棟 病棟の取り組み~回想法①~

急性期認知症病棟(第8病棟)では、入院患者様に対して医師による薬物療法に加え、薬物を使わない個別リハビリテーション療法を行っています。

今回はそのなかの一つ、回想法についてご紹介いたします。

回想法とは、アメリカで生まれた心理療法です。

主に高齢者を対象として、人生の歴史や思い出を受容的・共感的な態度で傾聴することを基本的姿勢とし、ご自身の過去や思い出を話していただくことで、精神的な安定が得られ、認知機能にもよい影響を与えるとされています。

ご高齢の方は最近のことはよく覚えていないけれど、昔のことについてはよーく覚えているという方が多くいらっしゃいます。また、昔の同じ話を何回も繰り返しお話しされる方も

いらっしゃいます。その内容については、良いこともそうでないことも様々にありますし、ご本人にとって重要なこともそうでないこともあるようですが、「昔を思い出し、話す。」ことに意味があると考えられています。

第8病棟では、入院時や入院中に、昔の写真や思い出の物を持参していただくよう依頼させていただいております。

なかには、物としては何も残っていないという方もいらっしゃいますが、好きだった歌や趣味についてご存知でしたら教えていただいています。

次回は、具体的な内容についてご紹介したいと思います。

新型コロナウイルスとメンタルヘルスについて

  • 新型コロナウイルス(COVID-19) パンデミックの間、感染症対策として世界中の国々でさまざまな行動制限・ロックダウンが適用されました。これらの対策は、メンタルヘルスに悪影響を与えると考えられています
  • 感染の恐れ、行動の制限、および経済的影響は、精神的心理的問題を引き起こす可能性があります
  • パンデミックに関連し、パニック症状、うつ病、ストレス、不安、不眠などのメンタルヘルスの相談が増加しています

精神科領域でのコロナ感染の影響

<コロナ関連メンタル調査>

〔背景〕
長期間の「コロナ禍」は、メンタルヘルスに多大な悪影響を与えています。またコロナ感染後に、長期間体調不良が持続する「コロナ後遺症」が報告されています。コロナ後遺症の症状として、複数の精神症状が認められています。

〔目的〕
コロナ感染(COVID-19)後の精神疾患罹患者の精神状態の評価

〔対象〕

精神疾患で入院治療群:63名

精神疾患で外来治療群:53名

健常比較群:34名 コロナ後遺症外来受診群:31名

〔方法〕

CES-D (Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)

STAI(State-Trait Anxiety Inventory;状態・特性不安検査)を実施し、うつ症状・不安のスクリーニングを行いました

CES-D(Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)

  • CES-Dは、世界中で汎用されている抑うつ症状のスクリーニングツール(Radloff LS 1977)である
    得点が高いほど抑うつの傾向が高く、開発者 RadoloŠ,日本語版開発者の島ともに16点以上を スクリーニングのカットオフ値として推奨している

STAI (State-Trait Anxiety Inventory;状態・特性不安検査)

不安状態を測定する心理検査全
40問の質問で構成されている自己評価型の検査

状態不安:特定の時点や場面・出来事・対象物に対して抱く一時的な不安反応のことを指す

採点後の総点数の高さで不安の強度を測り、おおよそ42点以上だと臨床的に問題となりうる高不安だと考えられる

うつ状態のスクリーニング(CES-D) 感染3週間後

うつ状態のスクリーニング(CES-D) 感染3週間後

  • 健常群と比較し、精神疾患で入院治療群では、CES-D高値を認めました
  • 精神疾患治療群では、いずれも平均値は16点以上でした
  • 基礎疾患として精神疾患に罹患していることが、コロナ感染並びに「コロナ禍」でのストレス脆弱性が示唆されました
  • 入院治療群では、無症候群と比較して、感染時有症状群(発熱・咽頭痛・倦怠感など)は高値で平均値は約20点でした
  • コロナ感染時の症状の有無が、その後のうつ状態発症に関連があることが示唆されます
  • コロナ後遺症患者群は、平均CES-D値が27.7±11.1となり、多くがうつ状態であることが示唆されました
  • コロナ後遺症外来受診者は、精神科既往歴はなく、コロナ感染後に何らかの症状のために受診したグループです

うつ状態のスクリーニング 精神疾患入院治療群

うつ状態のスクリーニング 精神疾患入院治療群

  • 感染3週間後・10週間後・35週間後のいずれの期間でも無症候群、有症状群ともに平均CES-D値は16点以上の結果となりました
  • 有症状群は、3期間でCES-D平均値が20点を上回っており長期間うつ状態であることが示唆されます
  • 精神疾患入院治療群は、うつ状態の発症リスクが高いだけでなく、症状が長期間持続している可能性があると思われます
  • 特にコロナ感染時に何らかの症状が出現した場合、いわゆるコロナ後遺症の発症リスクが高くなり、症状への治療・ケアが長期間必要となる事が示唆されます

不安のスクリーニング(STAI) 感染3週間後

不安のスクリーニング(STAI) 精神疾患入院治療群

コロナ関連メンタル調査 結果・まとめ 

  • 健常群と比較し、精神疾患入院治療群では、CES-D高値(うつ状態の高リスク)を認めました
  • コロナ後遺症群は、平均CES-D値が27.7±11.1となり、多くがうつ状態であることが示唆されました
  • 精神疾患入院治療群は、3期間でCES-D平均値が20点を上回っており長期間うつ状態であることが示唆されました
  • 健常既感染群と比較して、精神疾患入院治療群とコロナ後遺症外来で、不安スクリーニング高値を認めました
  • 精神疾患入院治療有症状群では3~35週間を通して不安スクリーニング高値を認め、明らかな改善は認められませんでした
  • コロナ感染時の症状の有無が、その後のうつ状態発症に関連があることが示唆されました
  • 基礎疾患として精神疾患罹患していることが、コロナ感染並びに「コロナ禍」でのストレス脆弱性が示唆されました

コロナ後遺症 特徴

  • 女性は男性よりも、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後にさまざまな症状が慢性的に続く状態、いわゆる「long COVID」のリスクが高い可能性が報告されています。(Shirley Sylvester, Current Medical Research and Opinion,2022)
  • 18報告(計8,591例)の系統的レビューによると、倦怠感(28%)、息切れ(18%)、関節痛(26%)、抑うつ(23%)、不安(22%)、記憶障害(19%)、集中力低下(18%)、不眠(12%)が12ヵ月時点で多くみられた罹患後症状でした。(「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第2版)」)

コロナ後遺症外来 感染時症状

コロナ後遺症外来 主訴

※無断転用禁止 医療法人髙仁会

認知症高齢患者も急性期治療で

―認知症急性期治療病棟・開棟11カ月の実績報告―

〔キッカケは病棟転換〕
2022年2月の病棟再編成にともなって、第8病棟はうつ病を中心とした「ストレスケア病棟」から「認知症急性期治療病棟」へと転換しました。
認知症疾患の入院ニーズが増えたための転換ですが、<急性期治療病棟>としての機能には変わりありません。

〔理念が大事〕
これを機に認知症疾患に対する治療をバージョンアップすることといたしました。
まず認知症の急性期治療を行う、とのコンセプトを明確にし、急性症状に焦点をあて集中的に治療を行うこととしました。すなわち、認知症疾患の中核症状への治療は困難ですが、周辺症状に対する治療は現在の精神科治療をもってすれば充分可能であります。それにより問題行動を解消することが出来れば、患者様もご家族様も暮しやすくなる、今やれること、やるべきことはこれが一番大事なのではないか、という現実観にもとづいております。

実際の治療の進め方〕
認知症疾患高齢者の“今”を大切にして、お一人おひとりにあった個別の看護(受持担当制)を提供しています。
治療は認知症の周辺症状に焦点をあて、精神状態を安定させます。問題行動を放置することはせず、なぜその様な行動をとるのかを探り当てます。殆どのケースはその様にして行動の異常を改善することが出来ております。

〔リハビリテーション〕
日常の生活を普通におくる上での障害を取り除いたところで、社会性リハビリを実施することになります。回想法、個別音楽療法、個別運動療法などの非薬物療法は極めて有用で実効性があります。事実、在院中に得た体験が退院後の暮しで大いに役立っております。

〔11カ月の実績〕
認知症急性期治療病棟として第8病棟が再出発したのが2022年2月1日です。同年12月31日までで11カ月となりますが、入院件数は以下のとおりです。

  1. 入院件数 :263件
  2. 退院件数 :198件
  3. 3ヶ月以内の退院件数 :187件
  4. 自宅退院率 :60%以上

大多数の方に3ヵ月以内で退院していただいており、また、自宅退院率もクリアー出来たので、「急性期治療病棟」としての役割を果すことが出来たと考えております。
成果の上がった第一の要因は「認知症の急性期治療を行う」とコンセプトを明確にしたことにあります。
第二の要因は、スタッフが認知症高齢者を理解しようとする姿勢で真正面から患者さんに向き合うことにより困難を乗り越えたことです。これにより患者さんも穏やかに過され、良好な関係が確立されました。
まことに、治療はたとえ認知症疾患の場合であっても患者様と治療者が協力しあうところに成り立つという事をあらためて教えられた次第です。


2023年3月6日
「認知症医療疾患連携協議会 報告」

■認知症疾患医療センターの機能・役割最近の取り組みについて
~2021・2022年度実績~

■認知症患者への非薬物療法、作業療法士の関わり

第10病棟 ちょっとした工夫で食事時のトラブルが劇的に改善

認知症濃厚治療病棟(第10病棟)では、病棟ホールに患者様が集まり、食事を召し上がって頂いています。ところが認知症患者様の中には、人の食事を食べてしまう“盗食”や、落ち着きなく他患者様の席に近寄ってしまい、トラブルが発生します。認知機能低下が進行する中で、指示入りも困難となり、特定の患者様の対応において苦慮していました。ところがある日、数名のスタッフによるアイデアと、日頃の観察力が発揮され、対象の患者様の画期的な座席指定が試みられました。その結果、それまで起きていてた、いくつかの問題は解消され、本人はもちろん、周囲の患者様もとても穏やかに食事がとれるようになりました。そんな患者様の落ち着いた様子や、それをほほえましく見守るスタッフの光景がとても温かく感じる一場面でした。

第10病棟 2月と言えば・・・

「2月と言えば、皆さんは何を思いつきますか?」

先日の患者/職員ミーティングでは、節分のことを話題とするために、その前振りとして、患者様に上記のように呼び掛けたところ患者様から真っ先に帰ってきた言葉は「バレンタインデー」でした。

そこで、バレンタインデーにまつわるいくつかの質問をすると、なんと、チョコを5個以上もらったことがある男性患者様がいました。お返しの方が高くつき困ったそうです。チョコを渡す側の女性患者さんからも、思い出話しが聞かれたり、自分のためにチョコを買われた方もいらっしゃいました。バレンタインデーが、こんなにもご高齢者に浸透していたことに驚きました。今月のお茶会ではバレンタインデーとして盛り上げたいと思います。

第5病棟 手作りのグリーティングカード

こんにちは。今回の作業療法室の活動は、第5病棟(女性閉鎖病棟)で昨年12月に行ったクリスマスカードづくりを紹介します。

第5病棟では季節に合わせたカードづくりを行っています。

今回のテーマはクリスマス。参加者も多く、みなさんとても集中して取り組まれ、個性豊かなカードが出来ました。家族や友人に贈ったり、お部屋に飾ったりしてみなさん様々な楽しみ方をされていたようです。「次は年賀状を作りたい!」との声もあがりました。

今後も季節を感じることが出来る作業療法を大切にしていきます。

心理室 自分の病気を知る

今回は心理士が開放病棟にて行っている心理教育ミーティングというプログラムをご紹介いたします。このプログラムでは疾病理解、薬との付き合い方、ストレスへの対処といったテーマの他、患者さんがスムーズに地域生活に移行できるよう退院後の生活をより具体的にイメージできるような内容をお伝えしています。したがって特に退院前の患者さんには再発予防への意識を高めるため、積極的に参加して頂いています。患者さんの中にはご自身の病気についてあまりご存知なかったり、服薬の意味を十分に理解されていなかったりする方がいます。改めて情報を提供することでそれらの理解を深め、より積極的に治療に取り組むきっかけになることがあります。参加後には「薬の効果についてよくわかった」「ストレスを溜めない工夫をしたい」といった前向きな声が多く聞かれます。