新型コロナウイルスとメンタルヘルスについて

  • 新型コロナウイルス(COVID-19) パンデミックの間、感染症対策として世界中の国々でさまざまな行動制限・ロックダウンが適用されました。これらの対策は、メンタルヘルスに悪影響を与えると考えられています
  • 感染の恐れ、行動の制限、および経済的影響は、精神的心理的問題を引き起こす可能性があります
  • パンデミックに関連し、パニック症状、うつ病、ストレス、不安、不眠などのメンタルヘルスの相談が増加しています

精神科領域でのコロナ感染の影響

<コロナ関連メンタル調査>

〔背景〕
長期間の「コロナ禍」は、メンタルヘルスに多大な悪影響を与えています。またコロナ感染後に、長期間体調不良が持続する「コロナ後遺症」が報告されています。コロナ後遺症の症状として、複数の精神症状が認められています。

〔目的〕
コロナ感染(COVID-19)後の精神疾患罹患者の精神状態の評価

〔対象〕

精神疾患で入院治療群:63名

精神疾患で外来治療群:53名

健常比較群:34名 コロナ後遺症外来受診群:31名

〔方法〕

CES-D (Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)

STAI(State-Trait Anxiety Inventory;状態・特性不安検査)を実施し、うつ症状・不安のスクリーニングを行いました

CES-D(Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)

  • CES-Dは、世界中で汎用されている抑うつ症状のスクリーニングツール(Radloff LS 1977)である
    得点が高いほど抑うつの傾向が高く、開発者 RadoloŠ,日本語版開発者の島ともに16点以上を スクリーニングのカットオフ値として推奨している

STAI (State-Trait Anxiety Inventory;状態・特性不安検査)

不安状態を測定する心理検査全
40問の質問で構成されている自己評価型の検査

状態不安:特定の時点や場面・出来事・対象物に対して抱く一時的な不安反応のことを指す

採点後の総点数の高さで不安の強度を測り、おおよそ42点以上だと臨床的に問題となりうる高不安だと考えられる

うつ状態のスクリーニング(CES-D) 感染3週間後

うつ状態のスクリーニング(CES-D) 感染3週間後

  • 健常群と比較し、精神疾患で入院治療群では、CES-D高値を認めました
  • 精神疾患治療群では、いずれも平均値は16点以上でした
  • 基礎疾患として精神疾患に罹患していることが、コロナ感染並びに「コロナ禍」でのストレス脆弱性が示唆されました
  • 入院治療群では、無症候群と比較して、感染時有症状群(発熱・咽頭痛・倦怠感など)は高値で平均値は約20点でした
  • コロナ感染時の症状の有無が、その後のうつ状態発症に関連があることが示唆されます
  • コロナ後遺症患者群は、平均CES-D値が27.7±11.1となり、多くがうつ状態であることが示唆されました
  • コロナ後遺症外来受診者は、精神科既往歴はなく、コロナ感染後に何らかの症状のために受診したグループです

うつ状態のスクリーニング 精神疾患入院治療群

うつ状態のスクリーニング 精神疾患入院治療群

  • 感染3週間後・10週間後・35週間後のいずれの期間でも無症候群、有症状群ともに平均CES-D値は16点以上の結果となりました
  • 有症状群は、3期間でCES-D平均値が20点を上回っており長期間うつ状態であることが示唆されます
  • 精神疾患入院治療群は、うつ状態の発症リスクが高いだけでなく、症状が長期間持続している可能性があると思われます
  • 特にコロナ感染時に何らかの症状が出現した場合、いわゆるコロナ後遺症の発症リスクが高くなり、症状への治療・ケアが長期間必要となる事が示唆されます

不安のスクリーニング(STAI) 感染3週間後

不安のスクリーニング(STAI) 精神疾患入院治療群

コロナ関連メンタル調査 結果・まとめ 

  • 健常群と比較し、精神疾患入院治療群では、CES-D高値(うつ状態の高リスク)を認めました
  • コロナ後遺症群は、平均CES-D値が27.7±11.1となり、多くがうつ状態であることが示唆されました
  • 精神疾患入院治療群は、3期間でCES-D平均値が20点を上回っており長期間うつ状態であることが示唆されました
  • 健常既感染群と比較して、精神疾患入院治療群とコロナ後遺症外来で、不安スクリーニング高値を認めました
  • 精神疾患入院治療有症状群では3~35週間を通して不安スクリーニング高値を認め、明らかな改善は認められませんでした
  • コロナ感染時の症状の有無が、その後のうつ状態発症に関連があることが示唆されました
  • 基礎疾患として精神疾患罹患していることが、コロナ感染並びに「コロナ禍」でのストレス脆弱性が示唆されました

コロナ後遺症 特徴

  • 女性は男性よりも、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後にさまざまな症状が慢性的に続く状態、いわゆる「long COVID」のリスクが高い可能性が報告されています。(Shirley Sylvester, Current Medical Research and Opinion,2022)
  • 18報告(計8,591例)の系統的レビューによると、倦怠感(28%)、息切れ(18%)、関節痛(26%)、抑うつ(23%)、不安(22%)、記憶障害(19%)、集中力低下(18%)、不眠(12%)が12ヵ月時点で多くみられた罹患後症状でした。(「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第2版)」)

コロナ後遺症外来 感染時症状

コロナ後遺症外来 主訴

※無断転用禁止 医療法人髙仁会

認知症高齢患者も急性期治療で

―認知症急性期治療病棟・開棟11カ月の実績報告―

〔キッカケは病棟転換〕
2022年2月の病棟再編成にともなって、第8病棟はうつ病を中心とした「ストレスケア病棟」から「認知症急性期治療病棟」へと転換しました。
認知症疾患の入院ニーズが増えたための転換ですが、<急性期治療病棟>としての機能には変わりありません。

〔理念が大事〕
これを機に認知症疾患に対する治療をバージョンアップすることといたしました。
まず認知症の急性期治療を行う、とのコンセプトを明確にし、急性症状に焦点をあて集中的に治療を行うこととしました。すなわち、認知症疾患の中核症状への治療は困難ですが、周辺症状に対する治療は現在の精神科治療をもってすれば充分可能であります。それにより問題行動を解消することが出来れば、患者様もご家族様も暮しやすくなる、今やれること、やるべきことはこれが一番大事なのではないか、という現実観にもとづいております。

実際の治療の進め方〕
認知症疾患高齢者の“今”を大切にして、お一人おひとりにあった個別の看護(受持担当制)を提供しています。
治療は認知症の周辺症状に焦点をあて、精神状態を安定させます。問題行動を放置することはせず、なぜその様な行動をとるのかを探り当てます。殆どのケースはその様にして行動の異常を改善することが出来ております。

〔リハビリテーション〕
日常の生活を普通におくる上での障害を取り除いたところで、社会性リハビリを実施することになります。回想法、個別音楽療法、個別運動療法などの非薬物療法は極めて有用で実効性があります。事実、在院中に得た体験が退院後の暮しで大いに役立っております。

〔11カ月の実績〕
認知症急性期治療病棟として第8病棟が再出発したのが2022年2月1日です。同年12月31日までで11カ月となりますが、入院件数は以下のとおりです。

  1. 入院件数 :263件
  2. 退院件数 :198件
  3. 3ヶ月以内の退院件数 :187件
  4. 自宅退院率 :60%以上

大多数の方に3ヵ月以内で退院していただいており、また、自宅退院率もクリアー出来たので、「急性期治療病棟」としての役割を果すことが出来たと考えております。
成果の上がった第一の要因は「認知症の急性期治療を行う」とコンセプトを明確にしたことにあります。
第二の要因は、スタッフが認知症高齢者を理解しようとする姿勢で真正面から患者さんに向き合うことにより困難を乗り越えたことです。これにより患者さんも穏やかに過され、良好な関係が確立されました。
まことに、治療はたとえ認知症疾患の場合であっても患者様と治療者が協力しあうところに成り立つという事をあらためて教えられた次第です。


2023年3月6日
「認知症医療疾患連携協議会 報告」

■認知症疾患医療センターの機能・役割最近の取り組みについて
~2021・2022年度実績~

■認知症患者への非薬物療法、作業療法士の関わり

第10病棟 ちょっとした工夫で食事時のトラブルが劇的に改善

認知症濃厚治療病棟(第10病棟)では、病棟ホールに患者様が集まり、食事を召し上がって頂いています。ところが認知症患者様の中には、人の食事を食べてしまう“盗食”や、落ち着きなく他患者様の席に近寄ってしまい、トラブルが発生します。認知機能低下が進行する中で、指示入りも困難となり、特定の患者様の対応において苦慮していました。ところがある日、数名のスタッフによるアイデアと、日頃の観察力が発揮され、対象の患者様の画期的な座席指定が試みられました。その結果、それまで起きていてた、いくつかの問題は解消され、本人はもちろん、周囲の患者様もとても穏やかに食事がとれるようになりました。そんな患者様の落ち着いた様子や、それをほほえましく見守るスタッフの光景がとても温かく感じる一場面でした。

第10病棟 2月と言えば・・・

「2月と言えば、皆さんは何を思いつきますか?」

先日の患者/職員ミーティングでは、節分のことを話題とするために、その前振りとして、患者様に上記のように呼び掛けたところ患者様から真っ先に帰ってきた言葉は「バレンタインデー」でした。

そこで、バレンタインデーにまつわるいくつかの質問をすると、なんと、チョコを5個以上もらったことがある男性患者様がいました。お返しの方が高くつき困ったそうです。チョコを渡す側の女性患者さんからも、思い出話しが聞かれたり、自分のためにチョコを買われた方もいらっしゃいました。バレンタインデーが、こんなにもご高齢者に浸透していたことに驚きました。今月のお茶会ではバレンタインデーとして盛り上げたいと思います。

第3病棟 健全なる精神は、健全なる肉体に宿る?

こんにちは。第3病棟です。

近年、健康が多くの方々の関心事となっていますが、運動不足は精神にも影響を与えると言われています。運動の効果として、「やせた」「高脂血症や高血圧が改善された」といった身体的な効果だけでなく、「気分がすっきりした」など精神的な効果を感じた経験をお持ちの方も増えています。

運動が精神に及ぼす効果ですが、運動後に脳や身体の中では体内ホルモンの「セロトニン」の値が上昇し「コルチゾール」が減少します

セロトニンは、精神の安定や安心感、ストレス耐性などの効果がある神経伝達物質です。不足すると、うつ病、睡眠障害、意欲低下、慢性疲労など様々な症状が見られます。

コルチゾールは、身体の炎症を抑える、糖質、たんぱく質や脂質の代謝に関わるなど、人体に不可欠なホルモンです。

ただ、ストレスを受けると分泌が増え、精神疾患(うつ病や不眠症など)や生活習慣病などの原因になると考えられています。

運動すると、気分を良くするセロトニンが増え、ストレスホルモンであるコルチゾールが減るため精神的にも良い影響があるのです。

おすすめは、ウォーキングやジョギングです。一定のリズムで継続して運動することが大切なので、手軽にできて毎日取り組める運動を日常の中に取り入れてみてください。

日常生活に無理なくリズム運動を取り入れることもおすすめです。

ウォーキングやジョギング、階段の登り降りなど手軽に始められる運動から、ヨガやストレッチ、筋肉トレーニングなどもおすすめです。運動の種類や強度については、運動後に良い気分になるか、気分の改善がみられたかを目安に無理のない範囲で行ってみてください。

第4病棟 可愛くできた!カレンダー

こんにちは、身体合併症病棟(第4病棟)です。

日ごとに寒さがましているこの頃です。時折、暖かい春の日差しのような日もあります。日差しが暖かい窓の射す病棟ホールで作業療法としてクラフトを実施しました。

病棟ホールに掲示する1月のカレンダーを患者様が手作りいたしました。

日付けの部分は色鉛筆で色付けし、可愛いカレンダーが完成しました。

第4病棟はご高齢の患者様が多いので、手先、指先の細かい作業は脳の活性化に繋がります。作品が出来上がると、満足感が伝わってきます。

作業中は患者様同士での会話も広がるため、それもまた刺激になり、患者様からも笑みがこぼれていました。

第6病棟 ひとりひとり、患者様に合わせた支援

こんにちは、女子開放病棟(第6病棟)です。

当病棟では、地域での生活を目指している患者様のため、退院支援として個別性を取り入れた活動を行っています。

その1つに、季節に合わせた病棟レクリエーションを担当月の職員が企画し活動しています。企画の準備から患者様と一緒に取り組み、スタッフ・患者様同士とのコミュニケーションの場となっています。また、日常生活支援として、患者様の身の回りの整理整頓を促しています。整理整頓が得意な患者様、苦手な患者様がおり、個人差はありますが、担当看護師が中心となって個別指導を行っています。一緒に行うことで現状を自覚することができます。

こういった病棟活動を通して社会生活技能の向上を目指しています。

より多くの患者様が地域生活に繋がるよう、今後もより良い看護の提供を行えるよう努めていきたいと思います。

第7病棟 寒さに負けず

こんにちは、精神療養病棟(第7病棟)です。

寒さが厳しい時期ですが、患者様は作業療法のプログラムとして、音楽体操をして身体を温めています。好きな曲を聞きながら張り切って踊っていました。

作業療法士さんが車椅子の患者さんの事も考え振り付けを工夫したことで皆さん参加してくれました。

~音楽体操のねらい~

体操をすることで、生活リズムを整える事や廃用症候群の予防になります。音楽をかけることで患者様が集団で取り組む良いきっかけになっています。また筋力UPすることで転倒の危険性も低くなることから病棟全体で進んで取り組んでいます。

第8病棟 寒さを吹き飛ばす

こんにちは、急性期認知症治療病棟(第8病棟)です。

厳しい寒さが続く今日この頃、第8病棟では、院内にあります大きな会場(コスモスホール)へ移動して、カラオケ大会を行いました。歌が好きで得意な方もいらっしゃり、みなさんで「この歌懐かしいわね。」「なに歌いますか。」等、患者様同士で仲良くお話ししている様子も伺えました。歌うのが苦手な方も「聴くのは好きだから。」とカラオケを楽しんでいました。まだまだ寒い日が続きますが、防寒対策もしっかり行い、グラウンドへの散歩も行っていきたいと思います。

第10病棟 鏡開きで美味しいおしるこ

こんにちは、認知症濃厚治療病棟(第10病棟)です。

自宅や施設での生活が困難になってしまった方々に、その人らしさを損なわず、自宅や施設に戻れるように治療を行っています。認知症の治療を行う共に、月に1度は患者様の気分転換や作業療法・リハビリを目的とした病棟レクを実施しています。

病棟内での生活は、季節の移り変わりを感じにくいため、四季を感じやすい病棟レクを考えて実施しています。1月はお正月ということで、患者様にお汁粉と甘酒をお配りしました。甘酒はノンアルコールのもの、お汁粉はお餅が入っていないものを配り、なるべくたくさんの患者様が楽しめるように実施しました。患者様からは「おいしい」「1月らしいものを飲めて嬉しい」といった言葉がたくさん聞かれ、患者様に喜んでいただけたと思います。高齢者の患者様が多く、入院すると寝込む時間が多くなってしまいがちですが、日中なるべく楽しく起きて頂き、無理のない範囲で活動的に過ごせるよう今後も介入していきたいと思っています。