前回の認知症患者リハビリテーション(前編)では、当院における認知症患者リハビリテーションの内容やその効果をご紹介させて頂きました。今回の認知症患者リハビリテーション(後編)では、実際の実施例をご紹介させて頂きます。
■実施例
①脳血管性認知症(MMSE14点)を呈した車いすの80歳代男性
『認知症患者リハビリテーションを実施したことで、活動性、意欲が向上した症例』
入所していたサービス付き高齢者住宅で、暴言・暴力・介護拒否がひどくなり、薬物調整目的で当院へ入院。
→計算プリントへの興味や歩きたいというニーズ、意欲が強いため、見当識訓練、学習訓練療法、運動療法を合わせて実施。学習訓練療法は楽しみながら継続的に行え、本人の生活リズムの一部となった。運動療法では歩行器を使った歩行訓練を実施。転倒リスクがあるため車いす使用は変わらなかったが、本人の意欲や歩行時の耐久性が向上した。
②アルツハイマー型認知症(MMSE12点)を呈した80歳代女性
『不穏自体をなくすことは出来ないが活動中だけでも軽減させ、患者様の心安らぐ時間を作れた症例』
自宅にて夫と生活していたが、興奮、大声、外出時帰宅困難あり。夫の介護疲れもあり当院へ入院。
→見当識訓練、学習訓練療法、回想法を合わせて実施。学習訓練療法に集中して行えていたが、日によって帰宅欲求強く、徘徊や不穏も見られ実施困難になる時もあるため、傾聴、会話を中心とした回想法を実施。回想法を実施することで落ち着き表情も和らぐことが増え、スタッフとの関わりが楽しみにもなる。
認知症患者リハビリテーションでは、患者様に寄り添い患者様に合わせた活動を提供することを日々心掛けています。
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