認知症高齢患者も急性期治療で

―認知症急性期治療病棟・開棟11カ月の実績報告―

〔キッカケは病棟転換〕
2022年2月の病棟再編成にともなって、第8病棟はうつ病を中心とした「ストレスケア病棟」から「認知症急性期治療病棟」へと転換しました。
認知症疾患の入院ニーズが増えたための転換ですが、<急性期治療病棟>としての機能には変わりありません。

〔理念が大事〕
これを機に認知症疾患に対する治療をバージョンアップすることといたしました。
まず認知症の急性期治療を行う、とのコンセプトを明確にし、急性症状に焦点をあて集中的に治療を行うこととしました。すなわち、認知症疾患の中核症状への治療は困難ですが、周辺症状に対する治療は現在の精神科治療をもってすれば充分可能であります。それにより問題行動を解消することが出来れば、患者様もご家族様も暮しやすくなる、今やれること、やるべきことはこれが一番大事なのではないか、という現実観にもとづいております。

実際の治療の進め方〕
認知症疾患高齢者の“今”を大切にして、お一人おひとりにあった個別の看護(受持担当制)を提供しています。
治療は認知症の周辺症状に焦点をあて、精神状態を安定させます。問題行動を放置することはせず、なぜその様な行動をとるのかを探り当てます。殆どのケースはその様にして行動の異常を改善することが出来ております。

〔リハビリテーション〕
日常の生活を普通におくる上での障害を取り除いたところで、社会性リハビリを実施することになります。回想法、個別音楽療法、個別運動療法などの非薬物療法は極めて有用で実効性があります。事実、在院中に得た体験が退院後の暮しで大いに役立っております。

〔11カ月の実績〕
認知症急性期治療病棟として第8病棟が再出発したのが2022年2月1日です。同年12月31日までで11カ月となりますが、入院件数は以下のとおりです。

  1. 入院件数 :263件
  2. 退院件数 :198件
  3. 3ヶ月以内の退院件数 :187件
  4. 自宅退院率 :60%以上

大多数の方に3ヵ月以内で退院していただいており、また、自宅退院率もクリアー出来たので、「急性期治療病棟」としての役割を果すことが出来たと考えております。
成果の上がった第一の要因は「認知症の急性期治療を行う」とコンセプトを明確にしたことにあります。
第二の要因は、スタッフが認知症高齢者を理解しようとする姿勢で真正面から患者さんに向き合うことにより困難を乗り越えたことです。これにより患者さんも穏やかに過され、良好な関係が確立されました。
まことに、治療はたとえ認知症疾患の場合であっても患者様と治療者が協力しあうところに成り立つという事をあらためて教えられた次第です。


2023年3月6日
「認知症医療疾患連携協議会 報告」

■認知症疾患医療センターの機能・役割最近の取り組みについて
~2021・2022年度実績~

■認知症患者への非薬物療法、作業療法士の関わり

第10病棟 ちょっとした工夫で食事時のトラブルが劇的に改善

認知症濃厚治療病棟(第10病棟)では、病棟ホールに患者様が集まり、食事を召し上がって頂いています。ところが認知症患者様の中には、人の食事を食べてしまう“盗食”や、落ち着きなく他患者様の席に近寄ってしまい、トラブルが発生します。認知機能低下が進行する中で、指示入りも困難となり、特定の患者様の対応において苦慮していました。ところがある日、数名のスタッフによるアイデアと、日頃の観察力が発揮され、対象の患者様の画期的な座席指定が試みられました。その結果、それまで起きていてた、いくつかの問題は解消され、本人はもちろん、周囲の患者様もとても穏やかに食事がとれるようになりました。そんな患者様の落ち着いた様子や、それをほほえましく見守るスタッフの光景がとても温かく感じる一場面でした。

第10病棟 2月と言えば・・・

「2月と言えば、皆さんは何を思いつきますか?」

先日の患者/職員ミーティングでは、節分のことを話題とするために、その前振りとして、患者様に上記のように呼び掛けたところ患者様から真っ先に帰ってきた言葉は「バレンタインデー」でした。

そこで、バレンタインデーにまつわるいくつかの質問をすると、なんと、チョコを5個以上もらったことがある男性患者様がいました。お返しの方が高くつき困ったそうです。チョコを渡す側の女性患者さんからも、思い出話しが聞かれたり、自分のためにチョコを買われた方もいらっしゃいました。バレンタインデーが、こんなにもご高齢者に浸透していたことに驚きました。今月のお茶会ではバレンタインデーとして盛り上げたいと思います。

デイケア 北館の冬景色

こんにちは、デイケアです

北風が強く寒さを感じる日もあれば、日が暖かく過ごしやすい陽気の日もあり、

寒暖差が激しいですが、いかがお過ごしでしょうか?

再発防止コースのメンバーさんが交流会で冬の景色の壁飾りを作成しました。

雪の結晶を眺める動物たちが可愛らしいですね。

雪の結晶はデイケアで古くなったチラシを使用しています。

メンバーの皆さんが熱心に作成し、素敵な飾りとなりました。

まだしばらく寒い日が続くとは思いますが、体を温かくしてお過ごしください。

リワークデイケア 書初め

こんにちは、戸田病院リワークデイケアです。

新年ということで、1月初回のクラフトワークの時間では、皆さんで書初めを行いました。新年の抱負や目標など半紙に思い思いの言葉を集中して書かれていました。中には兎年にちなんで兎の絵を添える方もいらっしゃいました。出来上がった書初めをリワークのお部屋に飾ったのですが、お部屋の雰囲気が一気に変わり、それぞれの書初めに込められた思いが伝わって来るようでした。復職準備は引き続き続いていきますが、思いを新たに進んでいっていただけたらと思います。職員も皆さんの復職や再就職に向けサポートをしてまいります。

第5病棟 手作りのグリーティングカード

こんにちは。今回の作業療法室の活動は、第5病棟(女性閉鎖病棟)で昨年12月に行ったクリスマスカードづくりを紹介します。

第5病棟では季節に合わせたカードづくりを行っています。

今回のテーマはクリスマス。参加者も多く、みなさんとても集中して取り組まれ、個性豊かなカードが出来ました。家族や友人に贈ったり、お部屋に飾ったりしてみなさん様々な楽しみ方をされていたようです。「次は年賀状を作りたい!」との声もあがりました。

今後も季節を感じることが出来る作業療法を大切にしていきます。

心理室 自分の病気を知る

今回は心理士が開放病棟にて行っている心理教育ミーティングというプログラムをご紹介いたします。このプログラムでは疾病理解、薬との付き合い方、ストレスへの対処といったテーマの他、患者さんがスムーズに地域生活に移行できるよう退院後の生活をより具体的にイメージできるような内容をお伝えしています。したがって特に退院前の患者さんには再発予防への意識を高めるため、積極的に参加して頂いています。患者さんの中にはご自身の病気についてあまりご存知なかったり、服薬の意味を十分に理解されていなかったりする方がいます。改めて情報を提供することでそれらの理解を深め、より積極的に治療に取り組むきっかけになることがあります。参加後には「薬の効果についてよくわかった」「ストレスを溜めない工夫をしたい」といった前向きな声が多く聞かれます。

静養病棟 入院中の過ごし方

こんにちは、戸田病院ストレスケア病棟(静養病棟)です。

 当病棟では、うつ病と診断された患者様が治療を受けやすい療養環境を提供しております。うつ病と診断された患者様は、「まずは、ゆっくりと休みましょう」と言われて入院となることがあると思います。

 ゆっくり休むと言っても、具体的にはどのようにすることが、“休む”ことになるのでしょうか。病棟の看護師は、患者様とよく話をしながら、休むという事について、話をしています。入院前の生活では、どのような生活リズムだったのか、その生活では休むことができていたのかということ振り返っていただいています。その中で、患者様自身で辛かったことや、苦しかったこと、不安だったことなども話に出てきます。そのような思いも聞きながら、看護師と話をすることで、患者様なりの休むということが想像でき、入院生活中にゆっくりと休むことが出来ると思い、看護を提供しております。

第1病棟 個別看護の実践

こんにちは、急性期治療病棟(第1病棟)です。

2023年となり心機一転。スタッフ一同看護に力を入れていきたいと思います。

まずは、個別看護です。担当看護師によるアセスメント、一人一人患者様ごとに、どのような介助、援助、指導が必要なのか考え、患者様とも話し合い、共に退院に向け、どう生活していくべきなのか相談し、患者様の同意を得て、より良い方向へ向かうようにお手伝いしていきたいです。毎週カンファレンスを実施しているので、患者様の情報共有をしっかりと行い、医師、薬剤師、作業療法士、心理士などのコメディカルとも連携し患者様の入院生活が有意義な時間になるよう頑張っていきたいと思います。

第2病棟 みんなで楽しむ映画鑑賞

第2病棟では、毎週月曜日に映画鑑賞会を行っています。事前に病棟スタッフへ、どんな映画なのか、どんな内容の映画なのか確認する患者様もおり、待ち遠しいと、ウキウキされている患者様もいます。映画を見ることでストレスの発散が出来るという利点があり、感性を磨くことが出来ると言われています。また、他の患者様とのコミュニケーションの話題にもなり、対人関係を作ることもできると考えます。

12月には、映画「ホームアローン」を鑑賞しました。また、1月は「明日のジョー」を鑑賞しました。患者様全員が、夢中になり、静かに見入っていました。患者様同士で、映画を話題にして、語りあっている場面がとても印象的でした。今度の映画鑑賞会は、「ジム・キャリーはMr.ダマー」を予定しております。限られた療養生活の中でのストレスを、笑いで飛ばし、ストレス発散に繋がればと思っております。今後も定期的に映画鑑賞を計画していきたいと考えております。