急性期病棟での心理教育ミーティングのご紹介

心理教育ミーティングは1クール5回を通して、入院中の患者様がご自身の病気について知ること、また病気の快復のために治療に積極的に参加し、退院後も充実した日常生活が送れるよう意見交換できる場を提供しています

今回は第5回「退院後の生活設計」について。
退院後といっても症状や病気を抱えての生活、これまでと同じようには行きません。再入院の方であっても同じです。
しかし症状や病気を抱えながらも患者様のご希望に近い生活を送れることもまた重要です。

ミーティングでは患者様が描いている退院後の生活について具体的にあげて頂き、その中から出てきた退院後の不安や心配事について講師としてお呼びしたデイケアスタッフに答えて頂きました。
特に「これからの時期に退院して暑さに負けて家の中にこもりっきりにならないか」、「前回退院してデイケアにも通い始めたがすぐに調子を崩してしまった、今回大丈夫か」といった不安に丁寧に答えて頂きました。

退院は嬉しいことですが、大きな環境変化でもあります。
入院中から退院後のことについて考え、色々なことを想定して準備していくこと、そして、その橋渡しをしていく大切さを実感した回でした。

今後も各コメディカルとの連携をとり、情報提供・意見交換を充実させていきたいと考えています。

閉鎖病棟SSTのご紹介 その3

閉鎖病棟SSTの活動についてお知らせします。
SSTとは社会生活を送る上で必要なコミュニケーションスキルを向上させていくプログラムです。
具体的には、開放病棟へ行くことを目標に、病棟内で上手くコミュニケーションが取れず困った場面や、どう言ったらいいのか迷った場面を振り返り、どう言ったらいいかを考え、練習していきます。

今回は、診察場面でのコミュニケーションの練習を行ないました。参加メンバーAさんより、「診察の時、先生に『どうしたら退院できますか?』と聞きたいけど、あがってしまって聞けない」との困り場面が出されました。
それに対して皆さんから「自分は事前にメモに書き、それを渡すようにしている」、「私も緊張する」等の意見が出されました。

その後、これらの意見を踏まえ、Aさんは実際の診察時に実践、翌週その結果を聞くことが出来ました。
「緊張はしたけれど、事前に言いたい事を紙に書き、それを覚えて、診察の最初に言えた。ハッキリとした口調で伝えるように気をつけた」とのことでした。

実際にどのような感じで伝えたのかを再現して頂き(写真の場面です)、皆さんでAさんのコミュニケーションのどんなところが良かったかを確認し合いました。

このようにSSTの場で考えたり練習したことを実際の病棟生活の中で実践しながら、開放病棟へ、退院へ向けて頑張っています!

静養病棟での『集団精神療法の活動』のご紹介

今回は、当院静養病棟で週に1度行っている集団精神療法の活動をご紹介します。

ここでは、患者様の意欲や主体性を上げるための方法の一つとして、コミュニケーションに重点を置いています。
誰かと話をして良い反応が返ってくる、だからまた話をしてみようという気持ちになる、というサイクルが生まれることを期待して様々なことをテーマに、皆さんで話をする時間を作っています。

日頃あまり話さない患者様が発言してみたり、あるいは自分からは発言しないけれど他の患者様の話を聞いてクスっと笑ったりする様子が見られます。
参加の仕方や楽しみ方は人それぞれで異なりますが、いつもはお一人で過ごされている方でも、他の人との交流を持つことに開かれた姿勢を見せる方がいらっしゃいます。
ここでの体験が日頃のコミュニケーションの向上につながり、意欲や主体性への刺激となればと思って取り組んでおります。

春の初めには、「4月と言えば・・・」というテーマで話し合いました。
皆さんから「出会いと別れ」、「入学式」、「お花見」など意見が上がり、「私の頃の入学式はこうだった」と、昔を思い出しながらお話する方もいらっしゃいました。
1月にもご紹介した『回想法』にもつながります(昔の思い出を話すことで認知機能の維持、改善が期待できる)。

急性期病棟での『心理教育ミーティング』のご紹介

『心理教育ミーティング』は1クール5回を通して、入院中の患者様がご自身の病気について知ること、また病気の快復のために治療に積極的に参加し、退院後も充実した日常生活が送れるよう意見交換できる場として提供しています。

今回は第2回「薬のはたらきメリット・デメリット」について。

当院の薬剤師を講師に呼び、服薬の効果と副作用についてお話して頂いた後、皆さんからのたくさんの意見・質問にも答えて頂きました。毎回副作用や個々の薬剤に関する質問が多いのですが、それにも増して今回は「薬とアルコールとの関係」について関心が寄せられました。

基本的には併用は禁じてもらいたいのですが、その理由について詳しく説明して頂き、一同納得・・・されたかどうかはわかりませんが、直接薬剤師に質問できるとあって参加者の積極的な姿を垣間見ることができました。

今後は各コメディカルとの連携をとり、情報提供・意見交換を充実させていきたいと考えています。

開放病棟SSTのご紹介

開放病棟では、退院後に必要なスキルの一つとして、人と円滑なコミュニケーションを結ぶことを目標に、ロールプレイをメインとしたSSTプログラムを実施しています。
このプログラムは4月上旬からスタートしますが、年度末には「卒業プラン」と称して外出の機会を設けています。
今回は、前年度末に実施した「卒業プラン」についてご報告します。

「卒業プラン」当日に向け、準備・練習を計4回行ないました。
各種交通機関の利用の仕方、お店での注文の仕方、公共施設の利用についてなど、短い準備期間の中さまざまな項目を確認しました。
中でも、実際の場面を想定して具体的なやり取りを練習するロールプレイの時間は長くとりました。

当日は、練習したとおりに「うまくできました」と笑顔を浮かべた方もいらっしゃれば、「うまくできませんでした」と難しい顔をされた方もいらっしゃいました。
しかしよく話を伺うと、できなかったけれど同行したスタッフに状況をしっかり説明できたことで支援をしてもらったということでした。
自分が困っていることを周りに伝えて助けを求めることも、大切なコミュニケーションのひとつですね。

また4月上旬に新たな患者様たちを迎えて、開放病棟SSTをスタートしていく予定です。

閉鎖病棟SSTのご紹介 その2

今回は閉鎖病棟SSTの活動についてお知らせします。
SSTとは社会生活を送る上で必要なコミュニケーションスキルを向上させていくプログラムです。今後、開放病棟へ移るにあたり必要なコミュニケーションスキルの習得、研鑚に取り組んでいます。

この日は「相槌」をテーマにコミュニケーションの練習を行ないました。
相槌は、普段何げなくやっているかと思いますが、改めて振り返ってみると、「上手く出来ていないかな」と感じるメンバーがほとんどでした。そこで、まずはスタッフが見本となり、相槌を意識しながら会話をしました。その様子をメンバー皆で観察し、どんなところが良かったか意見を出し合いながら、コミュニケーションのポイントを確認しました。

次は、実際にメンバー同士で相槌を意識した会話の練習を行ないました。そして、どんなところが良かったかを皆で観察し振り返りました。メンバーからは、今回のテーマである「頷きをきちんと返せていた」の他にも、「視線をしっかり合わせていた」「相手と自分と、ちゃんと順番に話していた」等、沢山の良いところがあげられました。
さらに、「もっと大きく頷いてもいいのではないか」「突然話しかけるのではなく、今いいですか?と相手の都合を聞いた方がいいと思う」など、コミュニケーションをさらに良くするためのアドバイスも出されました。

皆に見られながらコミュニケーションの練習をすることはとても緊張すると語るメンバーの方が多いですが、回を重ねる中で、徐々に「ゆっくり落ち着いて話せるようになってきた」と、練習の成果を感じられているメンバーもいます。

お互いのコミュニケーションの良い所を認め合いながら、また改善点に気づき一緒に考えながら、今後も練習に取り組んで参ります。

静養病棟での集団精神療法のご紹介

今回は、当院静養病棟で週に1度行っている集団精神療法の活動をご紹介します。

高齢者の認知機能改善に期待できるアプローチとして「回想法」というものがあります。これは、昔を回想して懐かしい思い出を語り合う、話す、聞くというものです。これにより脳が刺激され、精神状態を安定させたり、認知機能の維持や改善も期待できると言われています。

特に認知症の患者様は、比較的昔のことをよく覚えていらっしゃる方が多いため、普段はあまりお話されない方でも昔のことになると会話に参加されたり、興味を持たれたりする様子が見られます。ここでも“子どもの頃の思い出”をテーマに患者様から「集団疎開をした」、「お金がなかったから物々交換をした」、「家できょうだいと遊んだ」、「友だちと電車に乗って町まで出かけて遊びに行った」など当時を振り返って意見を出してもらいました。

会の最後には毎回皆で昔の歌を歌います。
今の時期は「こがらし」や「冬景色」、「ゆきやこんこん」など冬の歌が中心になります。患者様にとって子どもの頃に歌った馴染み深い歌なので、大きな声で歌ってくださいます。