2023-03-01

第3病棟 音楽療法がもたらす効果

皆さんは「音楽療法」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

音楽療法とは、音楽の特性を生かしたプログラムによる治療方法の1つです。メンタルケアや認知症の進行抑制など、様々な場面で取り入れられています。

音楽には、心身に与える効果(ストレス軽減・不安の緩和)や、人間関係に与える効果(コミュニケーションの促進など)があると言われています。皆さんの中にも、音楽を聴いてリフレッシュしたり、嫌なことが忘れられる経験をした方も多いのではないでしょうか。当病棟でも、隔週でピアノの演奏を、患者さんのリクエストに合わせて実施して頂いたり、カラオケや音楽鑑賞など、音楽を取り入れた作業療法プログラムがあります。

患者さんの多くが、積極的に参加する人気のプログラムでもあります。コロナ禍ということもあり、遠慮されがちなプログラムではありますが、音楽の力が偉大であると、日々感じています。行動が制限されがちな社会ではありますが、様々なプログラムでこれからも患者さんが笑顔になれる取り組みを行っていきます。

2023-03-01

静養病棟 睡眠の質を高める

こんにちは。戸田病院静養病棟(ストレスケア病棟)です。

睡眠時間は個人差があると思いますが、生理的に必要とされる睡眠時間は5時間程度と言われています。一般的には、起床後に「よく寝た、気持ちよく目覚めることができた」と自覚ができる睡眠時間が適した睡眠時間だと考えられます。

睡眠の質を高めるために。就寝前のカフェイン摂取や喫煙は避ける。睡眠薬代わりに寝酒はしない。お風呂は38℃程度のぬるま湯で血行を良くし、自律神経のバランスを整える。就寝1~2時間前はリラックスした状態にするため、スマートフォンやゲームなどの液晶画面は使用せずに、ストレッチや落ち着いた音楽を聴く。

こころの安定を図るためには、活動と休息のバランスが重要です。まずは、しっかりとした睡眠を得ることで、活力ある生活が送れると思います。

2023-03-01

心理室 行動活性化 (Behavioral activation, BA)

心理の集団プログラムにはいくつか種類がありますが、その中に集団プログラムの導入として、入院中のどなたでも参加できるプログラムがあります。先日はそこで、アイスブレイクとしていくつかのお題に沿ったトークをしていただきました。

参加者の方の年齢や経歴はさまざまですが、他の方の「自分の小さい頃はこういうお店が近所にあって…」「私は昔はこれが好きだったけど今はこうで…」という語りを聞きながら、うなずいている方も、新鮮に感じている方もいるなど、お互いの距離が縮まる時間となったようです。

始めは「自分はそのお題についてあまり詳しくないから…」と感じていた方でも、そう言って下さることで次の話題につながったり、別のところで他の方と共通点が見つかったりして、会話が弾むこともありました。

お題は身近なものですが、気分が沈みやすくなっている状態においては、こうした活動が行動活性化といって日常の中で楽しみや達成感を覚える行動を増やすことにつながっていきます。今後も、こうしたコミュニケーションの場を入院生活の中でご提供できたらと思っています。

2023-03-01

第8病棟 音楽っていいよね

こんにちは。今回は、第8病棟(認知症急性期治療病棟)作業療法のプログラムの1つ、『音楽鑑賞』の紹介をします。

 音楽鑑賞では、患者様からリクエストを募り、曲を流しています。昭和の名曲から最近の曲まで様々な年代の歌があり、皆さん「懐かしいね、私が高校生の時の曲だよ」と昔話に花を咲かせたり、「この曲良い曲ね、何て曲?誰がリクエストしたの?」などと自然と会話が生まれ、患者様同士の交流の場にもなっています。また、曲に合わせて歌ったり手拍子をしたり、時には踊ったりする方もいらっしゃり、集団でも個人でも皆さんそれぞれ違った楽しみ方をされています。このように、音楽鑑賞は多くの方が参加する人気のプログラムの1つとなっています。

2023-03-01

栄養課 2月12日 お楽しみ献立

献立のテーマ バレンタイン

献立内容

・マッシュルームライス(軟菜食 マッシュルームリゾット)

・ハヤシルー

・野菜のマリネ

・ハートのチョコプリン

以下患者様からの感想になります。

(好評)                                           

・ハヤシライスすごく美味しかった。

・ハヤシライスおかわりがしたいほど美味しかった。

・毎日でも食べられるくらい、美味しかった。

・牛肉が入っていて嬉しい。

・牛肉がたくさん入っていて、嬉しかった。

・牛肉が軟らかくて美味しかった。

・家庭で食べた味つけに似ていた。

・マッシュルームライスの香りと味がよかった。

・リゾットが美味しかった。

・マッシュルームリゾットの名前がおしゃれだった。

・ハート型のプリンで可愛かった。

・デザートがあるだけで嬉しい。

・チョコプリンが甘くて美味しい。

(改善・要望)

・お肉がぜんぜん入っていなかった。

・味付けご飯じゃない方が良い。ルーが美味しいのに勿体ない。

・いつもドレッシングが良かった。

2023-02-28

第8病棟 病棟の取り組み~回想法①~

急性期認知症病棟(第8病棟)では、入院患者様に対して医師による薬物療法に加え、薬物を使わない個別リハビリテーション療法を行っています。

今回はそのなかの一つ、回想法についてご紹介いたします。

回想法とは、アメリカで生まれた心理療法です。

主に高齢者を対象として、人生の歴史や思い出を受容的・共感的な態度で傾聴することを基本的姿勢とし、ご自身の過去や思い出を話していただくことで、精神的な安定が得られ、認知機能にもよい影響を与えるとされています。

ご高齢の方は最近のことはよく覚えていないけれど、昔のことについてはよーく覚えているという方が多くいらっしゃいます。また、昔の同じ話を何回も繰り返しお話しされる方も

いらっしゃいます。その内容については、良いこともそうでないことも様々にありますし、ご本人にとって重要なこともそうでないこともあるようですが、「昔を思い出し、話す。」ことに意味があると考えられています。

第8病棟では、入院時や入院中に、昔の写真や思い出の物を持参していただくよう依頼させていただいております。

なかには、物としては何も残っていないという方もいらっしゃいますが、好きだった歌や趣味についてご存知でしたら教えていただいています。

次回は、具体的な内容についてご紹介したいと思います。

2023-02-24

新型コロナウイルスとメンタルヘルスについて

  • 新型コロナウイルス(COVID-19) パンデミックの間、感染症対策として世界中の国々でさまざまな行動制限・ロックダウンが適用されました。これらの対策は、メンタルヘルスに悪影響を与えると考えられています
  • 感染の恐れ、行動の制限、および経済的影響は、精神的心理的問題を引き起こす可能性があります
  • パンデミックに関連し、パニック症状、うつ病、ストレス、不安、不眠などのメンタルヘルスの相談が増加しています

精神科領域でのコロナ感染の影響

<コロナ関連メンタル調査>

〔背景〕
長期間の「コロナ禍」は、メンタルヘルスに多大な悪影響を与えています。またコロナ感染後に、長期間体調不良が持続する「コロナ後遺症」が報告されています。コロナ後遺症の症状として、複数の精神症状が認められています。

〔目的〕
コロナ感染(COVID-19)後の精神疾患罹患者の精神状態の評価

〔対象〕

精神疾患で入院治療群:63名

精神疾患で外来治療群:53名

健常比較群:34名 コロナ後遺症外来受診群:31名

〔方法〕

CES-D (Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)

STAI(State-Trait Anxiety Inventory;状態・特性不安検査)を実施し、うつ症状・不安のスクリーニングを行いました

CES-D(Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)

  • CES-Dは、世界中で汎用されている抑うつ症状のスクリーニングツール(Radloff LS 1977)である
    得点が高いほど抑うつの傾向が高く、開発者 RadoloŠ,日本語版開発者の島ともに16点以上を スクリーニングのカットオフ値として推奨している

STAI (State-Trait Anxiety Inventory;状態・特性不安検査)

不安状態を測定する心理検査全
40問の質問で構成されている自己評価型の検査

状態不安:特定の時点や場面・出来事・対象物に対して抱く一時的な不安反応のことを指す

採点後の総点数の高さで不安の強度を測り、おおよそ42点以上だと臨床的に問題となりうる高不安だと考えられる

うつ状態のスクリーニング(CES-D) 感染3週間後

うつ状態のスクリーニング(CES-D) 感染3週間後

  • 健常群と比較し、精神疾患で入院治療群では、CES-D高値を認めました
  • 精神疾患治療群では、いずれも平均値は16点以上でした
  • 基礎疾患として精神疾患に罹患していることが、コロナ感染並びに「コロナ禍」でのストレス脆弱性が示唆されました
  • 入院治療群では、無症候群と比較して、感染時有症状群(発熱・咽頭痛・倦怠感など)は高値で平均値は約20点でした
  • コロナ感染時の症状の有無が、その後のうつ状態発症に関連があることが示唆されます
  • コロナ後遺症患者群は、平均CES-D値が27.7±11.1となり、多くがうつ状態であることが示唆されました
  • コロナ後遺症外来受診者は、精神科既往歴はなく、コロナ感染後に何らかの症状のために受診したグループです

うつ状態のスクリーニング 精神疾患入院治療群

うつ状態のスクリーニング 精神疾患入院治療群

  • 感染3週間後・10週間後・35週間後のいずれの期間でも無症候群、有症状群ともに平均CES-D値は16点以上の結果となりました
  • 有症状群は、3期間でCES-D平均値が20点を上回っており長期間うつ状態であることが示唆されます
  • 精神疾患入院治療群は、うつ状態の発症リスクが高いだけでなく、症状が長期間持続している可能性があると思われます
  • 特にコロナ感染時に何らかの症状が出現した場合、いわゆるコロナ後遺症の発症リスクが高くなり、症状への治療・ケアが長期間必要となる事が示唆されます

不安のスクリーニング(STAI) 感染3週間後

不安のスクリーニング(STAI) 精神疾患入院治療群

コロナ関連メンタル調査 結果・まとめ 

  • 健常群と比較し、精神疾患入院治療群では、CES-D高値(うつ状態の高リスク)を認めました
  • コロナ後遺症群は、平均CES-D値が27.7±11.1となり、多くがうつ状態であることが示唆されました
  • 精神疾患入院治療群は、3期間でCES-D平均値が20点を上回っており長期間うつ状態であることが示唆されました
  • 健常既感染群と比較して、精神疾患入院治療群とコロナ後遺症外来で、不安スクリーニング高値を認めました
  • 精神疾患入院治療有症状群では3~35週間を通して不安スクリーニング高値を認め、明らかな改善は認められませんでした
  • コロナ感染時の症状の有無が、その後のうつ状態発症に関連があることが示唆されました
  • 基礎疾患として精神疾患罹患していることが、コロナ感染並びに「コロナ禍」でのストレス脆弱性が示唆されました

コロナ後遺症 特徴

  • 女性は男性よりも、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後にさまざまな症状が慢性的に続く状態、いわゆる「long COVID」のリスクが高い可能性が報告されています。(Shirley Sylvester, Current Medical Research and Opinion,2022)
  • 18報告(計8,591例)の系統的レビューによると、倦怠感(28%)、息切れ(18%)、関節痛(26%)、抑うつ(23%)、不安(22%)、記憶障害(19%)、集中力低下(18%)、不眠(12%)が12ヵ月時点で多くみられた罹患後症状でした。(「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第2版)」)

コロナ後遺症外来 感染時症状

コロナ後遺症外来 主訴

※無断転用禁止 医療法人髙仁会

2023-02-24

認知症高齢患者も急性期治療で

―認知症急性期治療病棟・開棟11カ月の実績報告―

〔キッカケは病棟転換〕
2022年2月の病棟再編成にともなって、第8病棟はうつ病を中心とした「ストレスケア病棟」から「認知症急性期治療病棟」へと転換しました。
認知症疾患の入院ニーズが増えたための転換ですが、<急性期治療病棟>としての機能には変わりありません。

〔理念が大事〕
これを機に認知症疾患に対する治療をバージョンアップすることといたしました。
まず認知症の急性期治療を行う、とのコンセプトを明確にし、急性症状に焦点をあて集中的に治療を行うこととしました。すなわち、認知症疾患の中核症状への治療は困難ですが、周辺症状に対する治療は現在の精神科治療をもってすれば充分可能であります。それにより問題行動を解消することが出来れば、患者様もご家族様も暮しやすくなる、今やれること、やるべきことはこれが一番大事なのではないか、という現実観にもとづいております。

実際の治療の進め方〕
認知症疾患高齢者の“今”を大切にして、お一人おひとりにあった個別の看護(受持担当制)を提供しています。
治療は認知症の周辺症状に焦点をあて、精神状態を安定させます。問題行動を放置することはせず、なぜその様な行動をとるのかを探り当てます。殆どのケースはその様にして行動の異常を改善することが出来ております。

〔リハビリテーション〕
日常の生活を普通におくる上での障害を取り除いたところで、社会性リハビリを実施することになります。回想法、個別音楽療法、個別運動療法などの非薬物療法は極めて有用で実効性があります。事実、在院中に得た体験が退院後の暮しで大いに役立っております。

〔11カ月の実績〕
認知症急性期治療病棟として第8病棟が再出発したのが2022年2月1日です。同年12月31日までで11カ月となりますが、入院件数は以下のとおりです。

  1. 入院件数 :263件
  2. 退院件数 :198件
  3. 3ヶ月以内の退院件数 :187件
  4. 自宅退院率 :60%以上

大多数の方に3ヵ月以内で退院していただいており、また、自宅退院率もクリアー出来たので、「急性期治療病棟」としての役割を果すことが出来たと考えております。
成果の上がった第一の要因は「認知症の急性期治療を行う」とコンセプトを明確にしたことにあります。
第二の要因は、スタッフが認知症高齢者を理解しようとする姿勢で真正面から患者さんに向き合うことにより困難を乗り越えたことです。これにより患者さんも穏やかに過され、良好な関係が確立されました。
まことに、治療はたとえ認知症疾患の場合であっても患者様と治療者が協力しあうところに成り立つという事をあらためて教えられた次第です。


2023年3月6日
「認知症医療疾患連携協議会 報告」

■認知症疾患医療センターの機能・役割最近の取り組みについて
~2021・2022年度実績~

■認知症患者への非薬物療法、作業療法士の関わり

2023-02-13

第10病棟 ちょっとした工夫で食事時のトラブルが劇的に改善

認知症濃厚治療病棟(第10病棟)では、病棟ホールに患者様が集まり、食事を召し上がって頂いています。ところが認知症患者様の中には、人の食事を食べてしまう“盗食”や、落ち着きなく他患者様の席に近寄ってしまい、トラブルが発生します。認知機能低下が進行する中で、指示入りも困難となり、特定の患者様の対応において苦慮していました。ところがある日、数名のスタッフによるアイデアと、日頃の観察力が発揮され、対象の患者様の画期的な座席指定が試みられました。その結果、それまで起きていてた、いくつかの問題は解消され、本人はもちろん、周囲の患者様もとても穏やかに食事がとれるようになりました。そんな患者様の落ち着いた様子や、それをほほえましく見守るスタッフの光景がとても温かく感じる一場面でした。

2023-02-10

第10病棟 2月と言えば・・・

「2月と言えば、皆さんは何を思いつきますか?」

先日の患者/職員ミーティングでは、節分のことを話題とするために、その前振りとして、患者様に上記のように呼び掛けたところ患者様から真っ先に帰ってきた言葉は「バレンタインデー」でした。

そこで、バレンタインデーにまつわるいくつかの質問をすると、なんと、チョコを5個以上もらったことがある男性患者様がいました。お返しの方が高くつき困ったそうです。チョコを渡す側の女性患者さんからも、思い出話しが聞かれたり、自分のためにチョコを買われた方もいらっしゃいました。バレンタインデーが、こんなにもご高齢者に浸透していたことに驚きました。今月のお茶会ではバレンタインデーとして盛り上げたいと思います。