2024-08-16

髙仁会・音楽療法の歩み(後編)

(「髙仁会・音楽療法の歩み」の前半記事はこちら


つぎに実際の音楽療法のことについて少しお話ししましょう。

音楽には様々な働きがあります。脳の運動中枢・感情中枢・自律神経系に複合的に影響を与えます。そして長期記憶、すなわち昔の記憶を呼び覚ます働きがあります。好きな懐かしい曲が元気だった頃の感覚をよみがえらせるのはその典型です。

特に歌うことは心にも身体にも良い影響を与えます。

まず身体への影響は、歌うことで呼吸する力が強くなり、姿勢が改善され、口や舌の筋肉が強くなります。音程を正しく取ろうとしたり、魅力的に歌おうとするためには、まず聴く力が求められます。音や声を聴き分ける耳の能力が上がります。一定のテンポを維持したり、細かい変化を感じとるリズム感も改善します。それはさまざまな日常動作や活動能力に寄与します。

心への影響は語らずとも皆さんよくお分かりとは思いますが、解析できなくては音楽療法とは言えないので、解き明かしていきましょう。

まず第一に、気分の入れ替えの効果です。締め切った部屋の窓をいっぱいに開けて空気を入れ替えるように、滞った気分が曲によって新しい気分を呼び込みます。

誰かと斉唱で歌い声と響きが合った瞬間の美的満足感や成功体験と、一人で歌うより響きで支え合って共に歌うことで得られる他者との共同作業の喜びが味わえます。

上達する過程で自己肯定感が上がり、他者の賛美も得られやすく、音楽を介して互いにこころの垣根が低くなります。

選ぶ曲の歌詞のテーマに無意識の心の問題と向き合う場ができます。共に歌う仲間の声に守られて、折り合いをつける無意識の作業となります。論理性より感性的な折り合いこそが歌の本質です。

歌は一人一人好みがまるで異なり、共感はできなくても他者理解の大きな材料になります。

このように分析すれば言葉にはできますが、言葉にするより音楽することそのものに意味があるのです。

永田先生は『調息調心』こそそこに真価があるとおっしゃっていました。
仲間と共に自ら歌うこと、奏でる事こそ、
『心のホメオスターシス恒常性』そのものだと考えています。

まだまだ私も頑張ります。髙仁会の音楽療法がスタッフご協力のもとに、ますます発展していくことを願ってやみません。ご清聴ありがとうございました。

2024-08-15

髙仁会・音楽療法の歩み(前編)

芸術監督      _
顧問音楽療法士 青拓美


        2024年7月1日「第一回ミュージック・フェス2024年」が戸田病院
        コスモスホールにて開催された。
        戸田病院、川口病院、コスモス苑の入院患者様やデイケア利用者様
        (約250名)が演奏や観客として参加され、大盛況であった。
        冒頭に基調講演を青先生にお願いしたので、ここにご紹介掲載します。
                                 (編集部)

こんにちは。私は戸田病院と川口病院のデイケアと精神科病棟作業療法プログラムの音楽療法を担当している青拓美と申します。

初のミュージックフェス開催にてお話しする機会をいただき、光栄なことと感謝申し上げます。この機会に髙仁会の音楽療法の歴史を振り返り、みなさまと共有したいと思います。

私と音楽療法の出会いは、東京芸術大学声楽科在籍時の心理学の桜林仁教授の授業でした。音楽療法について熱心に語られていたことが最初の出会いです。そして、1982年卒業した年に留学する藝大の先輩から引き継ぐ形で、大宮厚生病院の音楽レクの講師として精神科の音楽の道に入りました。

さて髙仁会の音楽療法は、会長のお父上角次郎先生の東大の後輩にあたる永田丕(はじめ)先生が正式に始められたと聞いています。永田先生は戦中に東大で外科を学ばれ、終戦を松代の大本営で迎えられ、無医村だった、長野県中野市の診療所で地域医療に身を捧げた方です。永田先生のお父様は東京芸大の初代のホルン科の教授で、ご本人もピアノが達者で、定年後は音楽療法をやりたいと若い頃から考えていらしたようです。

永田先生は30床の小さな診療所を千数百床の大病院に育てあげられた中で、総合病院には必ず精神科が必要だとのお考えから、信州大学の西丸四方先生に私淑され、外来の激務をこなされながら、精神科の勉強も続けられていたようです。

信州・中野総合病院を定年退職後、ソルボンヌ大学に音楽療法の研修生として留学。帰国後、髙仁会の精神科医師として診療の傍ら、音楽療法の実践を始められました。

永田先生は音楽療法をやるには発声法が大切であるとのお考えから、私のボイストレーニングに熱心に通われました。

1993年に信州中野に隠居されることとなり、私に戸田病院の精神科音楽療法を託されました。私35歳の時です。思えば髙仁会には30年もお世話になっております。

2000年から川口病院でもデイケアと病棟の音楽の時間を担当させていただき、現在に至っています。

2000年3月14日(リリア)&10月29日(戸田市文化会館)にて「さいたまこころの健康フェスティバル」戸田・川口合同で患者様スタッフと共に合唱参加。

2004年12月4日埼玉県民フォーラム音楽療法 in 彩の国にて
「提言 音楽療法の可能性と音楽療法士に求める専門性」シンポジウムに会長がシンポジストとしてご参加。

2013年6月22日第2回日本精神科医学会学術大会にて会長発案の
「音楽療法の治療有効性をめぐって」シンポジウム開催が実現し、いずれも髙仁会における音楽療法の充実を世に示す好機となりました。

一方、日本音楽療法学会が、音楽療法士なる福祉法下における国家資格化を拙速に進める中、障碍者団体も求める医療資格としての音楽療法を志す者が集い、2006年に日本臨床音楽療法学会、2007年に日本臨床音楽研究会が設立され髙橋会長に顧問をお願いし私が会長を拝命いたしました。
そして2011年には第5回日本臨床音楽研究会が戸田病院コスモスホールで開催されました。

いずれも髙橋正和会長の音楽療法に対する深いご理解と大きなお支えのもとに実現し得たものです。ここまで髙仁会の音楽療法の流れを語らせていただきました。

後半に続く

2024-08-14

七夕のねがいごと

みなさん、こんにちは。精神療養病棟です。

今月の療養病棟のレクリエーション企画は七夕飾りを行いました。患者様には、お好きな短冊を選んでいただき、お願いごとを記入してもらいました。ご自身で文字を書くことが難しい患者様には、お願い事の記入をスタッフが代筆をしました。笹の葉に見立てた画用紙に皆様に記入して頂いた短冊や、飾り付けを貼り付け、作品が完成しました。

 また、短冊にお願いごとを書いていただいたお礼に、ちょっとしたスナック菓子やジュースお好きな物を選んでもらいました。患者様からは「七夕飾りなんて懐かしいわね」「もう7月なのね」と季節感を感じてもらう事が出来ました。

 これからも患者様に季節感を感じてもらえるような病棟レクを行っていきたいと思います。

2024-08-13

ストレスケア病棟での治療について

こんにちは、戸田病院 ストレスケア病棟です。

ストレスケア病棟では、非薬物療法の一つとして認知行動療法を行っています。

認知行動療法は、気分や行動が「認知のあり方(ものの考え方や受け取り方)」の影響を受けることから、認知の偏りを修正し、問題解決を手助けすることによって精神疾患を治療することを目的とした構造化された精神療法です。

認知行動療法では、「自動思考」と呼ばれる、様々な状況でその時々に自動的に沸き起こってくる思考やイメージに焦点を当てて治療を進めていきます。1クール8回、2人~3人の小集団で行っており、プログラムには病棟医も参加していることから患者様からも好評です。

2024-08-12

「ミュージックフェスに参加」

こんにちは、男子慢性期閉鎖病棟です。7月1日、当院ではミュージックフェスが開催されました。まさにその名の通り、音楽を中心としたイベントで、今年が初めての開催となります。職員だけでなく、患者さんからも参加者を募って、三部に分けて行われました。

当病棟の患者さんは、初めてのイベントということもあり、演者としての参加希望はありませんでしたが、観客側として何人もの方が参加してくれました。三部の「カラオケ名人会」を見ましたが、観客席にも鳴子が配られ、太鼓演奏や全員合唱もあり、全員参加型の大いに盛り上がった時間となりました。患者さんが楽しそうに鳴子を振る様子、全員合唱で歌う様子は、病棟でのレクリエーションとはまた違う、大きなイベントならではの姿として印象的に映りました。

フェス終了後、「次は出たいね」と言った患者さんの笑顔が、心の底から楽しんでくれたことを物語っているようでした。

2024-08-09

8月13日(火)~15日(木)外来休診日のお知らせ

8月12日(月)振替休日は通常通り外来診療をおこなっております。

翌8月13日(火)~8月15日(木)はお盆休みの為、外来診療は休診となります。

また、外来診療がお休みの日は、デイケアもお休みとなっております。

8月
12日13141516日17日
診療日休診日休診日休診日診療日診療日


なお、入院受入につきましてはお盆期間中も受け付けております。
入院のご相談は、下記電話番号までご連絡ください。
℡:0120-901-116(入院受入 直通)



〈戸田病院の外来休診日〉

日曜日、ゴールデンウィーク(5月3日~5月5日)、お盆(8月13日~8月15日)

年末年始(12月30日~1月3日)となっております。

2024-08-09

戸田病院デイケア再発防止コースのご紹介

こんにちは、戸田病院デイケア「コスモス」です。

戸田病院のデイケアは大規模デイケアです。たくさんの方が通所されており、5コース制(再発防止、体力増強、マナー生活習慣改善、社会資源活用学習、就労準備)で運営されています。

その中で再発防止コースは退院後まもない、もしくは病状が不安定な時期を過ごされている方が在籍するコースとなっています。現時点で再発防止コースの登録者数は少人数のコースとなっています。

再発防止コースが目指すのは、自身の疾患について学び、治療継続と通所を通して、適切な生活リズムを身につけていく事です。様々な不安や悩み事、生活上のトラブルが起きた時は、多職種のスタッフたちと相談しながら解決していきます。結果、ストレスも軽減し病状の安定につながり、再発防止になると伝えつつ、メンバーさん達は日々様々なプログラムに励まれております。プログラムへの参加が辛い時は見学したり、休んでいたりと、個々の病状、特性にあわせた対応もとらせて頂いております。

再発防止コースのプログラムの中に交流会があります。メンバー同士で様々なテーマに沿って話し、自身の思いを伝えたり、他メンバーの話を聴いたりします。テーマとしては自己紹介からはじまり、他己紹介、レクリエーションなど、様々な事を行っています。

今回は再発防止コースについてご紹介させて頂きました。次回は体力増強コースについてご紹介させて頂きます。

当デイケアに興味もたれましたら是非見学にいらして下さいね。お待ちしています。

2024-08-08

『入院集団精神療法』について

こんにちは、戸田病院 精神科急性期治療病棟です。

当病棟では毎週木曜日15:15~16:00の日時にて「入院集団精神療法」という治療プログラムが行われています。

1クール5回となっており、5回目が終わったら翌週また1回目が始まります。入室は自由で入院中は何回でも参加することが出来ます。再発予防を目的に精神症状、服薬、ストレス対処、退院後の生活などについてグループで学びます。講師は心理士、薬剤師、デイケアスタッフなどです。

必要な知識や対処方法を身につけることで再発を防ぎ、健康的で自分らしい生活を送ることを目指しています。毎週大勢の患者様が熱心に参加されています。

2024-08-07

夏の土用

こんにちは、戸田病院グループホームです。

夏の土用は二十四節季の大暑に重なり非常に暑い時期で、季節の変わり目でもあり体調を崩しやすい時期です。夏バテを防ぐために栄養価の高いうなぎを食べて力をつけようという日なのですが、実は土用の丑の日には、もともと「う」の付く食べ物を食べるという風習があります。高級食材であるうなぎは簡単には口にできませんが、他にもいくつか栄養価の高い「う」のつく食べ物がありますのでご紹介します。

・うし(牛肉):タンパク質やビタミンが豊富でスタミナ源としても食べられています。

・うどん:消化が良く、暑い夏に食べやすい食品です。

・うり(瓜):きゅうり(胡瓜)、すいか(西瓜)、かぼちゃ(南瓜)、とうがん(冬瓜)、にがうり(苦瓜)など、体の熱を取り、利尿作用でバランスを整えるなど、夏の体に適しています。

・うめぼし:クエン酸が疲れを取り、食欲を増進するため夏バテを防ぎます。

夏の暑さに負けてしまいそうになる時期ですが、精神科グループホームでは利用者様の食生活にもアドバイスを行い、元気に過ごせるようサポートを心がけています。

2024-08-06

「お役立ちコラム」が更新されました

お役立ちコラム「Ⅲ.認知症 第24回 「若年性認知症の方を支える制度・サービス~その①~」が公開されました。